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  • ブランディングデザインとは?基礎や手順、注意点を初心者向けに解説

    小さな会社でマーケティングを担当しているが、自社のブランディングに自信が持てず、どう改善すれば良いかわからない……。そんな悩みを抱えていませんか?ブランディングデザインとは単にロゴを作ることではなく、企業の価値や魅力を一貫した形で伝える重要なプロセスです。本記事では、初心者でも理解できるようブランディングデザインの基礎から実践手順までを解説します。自社らしいブランドを築き、顧客から選ばれる存在になるためのヒントを一緒に見つけていきましょう。この記事を読み終えれば、ブランドの意味と大切さが腑に落ち、明日から実践できる具体的なアクションも見えてくるはずです。 ブランディングデザインとは? まずはブランディングデザインとは何か、その基本を理解しましょう。ブランディング(ブランド戦略)とデザイン(意匠設計)は混同されがちですが、本質的には異なる概念です。以下で両者の違いと、ブランドアイデンティティを構成する要素、そして近年ブランディングデザインが重視される理由について整理します。 ブランディングとデザインの違いを整理する ブランディングとは、企業や製品の「らしさ」や価値を戦略的に形作っていく活動です。具体的には、ブランドのビジョンやミッションを定め、ターゲットに伝えたいメッセージや体験を計画することを指します。一方、デザインはそれらの戦略を視覚や体験として具現化する作業です。ロゴやパッケージ、Webサイトのレイアウトから店舗の内装まで、デザインによってブランドの世界観が表現されます。つまり、ブランディングが土台となる考え方であり、デザインはその考えを伝えるための手段と言えます。ブランディングデザインはこの二つを統合し、戦略に沿ったデザインで一貫したブランド体験を生み出す取り組みです。 ブランドアイデンティティを構成する7要素 ブランドアイデンティティとは、ブランドを他と区別する視覚・言語要素の集合です。主な7つの構成要素を確認しましょう。ブランドネーム・タグラインブランドの名称とキャッチフレーズです。覚えやすく、価値を端的に伝えられるものが理想的です。ロゴ企業や商品の象徴となるマークです。一目で認識でき、ブランドの個性や理念を表現したデザインにします。カラー(色使い)ブランドを連想させるテーマカラーです。色は視覚的印象を左右し、ブランドの性格に合うものを選定しましょう。タイポグラフィ(フォント)フォントを含めて読みやすく形を整える技法です。書体の選択もブランドの印象を左右します。ブランドの雰囲気に合ったフォントを選びましょう。グラフィック要素ロゴ以外の図形要素やレイアウトのルールです。定型のアイコンやパターンを決めておくことで、どの媒体でも一貫したビジュアル表現が可能になります。ビジュアルイメージ写真やイラストのスタイルです。扱うビジュアルに統一感を持たせ、ブランドの世界観を一貫して表現します。トーン&マナーコミュニケーション上の言葉遣いや態度です。例えば文章の口調(カジュアルかフォーマルか)や接客時の対応など、接点ごとにぶれない基準を定めます。 以上の要素がしっかり設計されていれば、ユーザーはどのチャネルに触れても「そのブランドらしさ」を感じ取ることができます。 ブランディングデザインが重視される理由 ブランディングデザインが近年とりわけ重要とされるのには、いくつか背景があります。代表的な理由を3つ紹介します。 差別化による選ばれるブランドへモノやサービスがあふれる現代では、商品自体の機能差だけで勝負するのが難しくなっています。他社との差別化には、ブランドの物語や価値観で共感を得ることが不可欠です。優れたブランディングデザインによって独自の個性を打ち出し、顧客から「選ばれるブランド」になることを目指せます。顧客のロイヤルティと信頼の向上単発の取引ではなく長期的なファンを増やすには、ブランドへの愛着や信頼を築く必要があります。統一されたブランドデザインは顧客に安心感を与え、「このブランドが好き」「応援したい」という気持ちを醸成します。また、自社の価値観に共感する顧客は競合ではなく継続的に自社を選んでくれる可能性が高まります。マルチチャネル時代の一貫性Webサイト、SNS、店舗、広告など企業と顧客の接点は多様化しています。このマルチチャネル時代において、どのチャネルでも統一されたブランド体験を提供することが重要です。一貫したデザインと言葉で発信することで、どこで接触した顧客にも同じブランドイメージを想起させることができます。その結果、情報が氾濫する中でも記憶に残りやすく、効率的に認知度を高められます。 ブランディングデザインを成功に導く5つのステップ では、実際にブランディングデザインを進めるにはどのような手順を踏めば良いでしょうか。基本となる流れを5つのステップに分解して解説します。 市場調査とターゲットペルソナの設定 まず、土台として市場環境の把握と顧客像の明確化を行います。同業他社がどんなブランディングをしているかリサーチし、自社の立ち位置や差別化のポイントを探りましょう。その上で、自社の商品・サービスの典型的な顧客(ペルソナ)を設定します。年齢や性別などの属性だけでなく、ニーズや価値観、ライフスタイルまで具体的に描くことで、狙うべきブランド体験の方向性が見えてきます。市場とターゲットを深く理解することが、全てのデザイン判断の指針となります。 ビジョン・ミッション・バリューを言語化する 次に、ブランドの核となる考え方を明文化しましょう。企業のビジョン(将来像)、ミッション(社会的使命)、バリュー(大切にする価値観)を言語化します。例えば、「◯◯な世界を実現する」というビジョン、「そのために△△を提供する」というミッション、「□を何より重んじる」といった具合です。これらはブランドの軸であり、明文化することで今後のデザインやコミュニケーションの判断基準にもなります。 コンセプト開発とブランドストーリー設計 ビジョンなどが定まったら、それを踏まえてブランドコンセプトとストーリーを作ります。ブランドコンセプトとは、一言で表すブランドの方向性やスローガンのようなものです(例:「毎日に寄り添う◯◯ブランド」)。このコンセプトを軸に、ブランドストーリーを構築しましょう。ブランドストーリーとは、ブランド誕生の背景や提供する価値についての物語です。創業の想いや解決したい課題、そこに込めた情熱などを整理し、顧客に伝わる物語としてまとめます。良いストーリーは顧客の共感を呼び、ブランドに感情移入してもらう強力な武器となります。 ビジュアルアイデンティティの具体化 コンセプトとストーリーが固まったら、それを視覚化する作業に移ります。まずロゴデザインです。ブランドの象徴となるロゴは、コンセプトを反映した形や書体でデザインします。プロのデザイナーに依頼する場合も、事前に自社の理念や希望イメージをしっかり共有しましょう。次にカラーパレットの選定です。ブランドカラー1色だけでなく、メインとサブの組み合わせなど様々な場面で使える色の組み合わせを決めます。さらにフォント(書体)も重要です。和文・欧文それぞれで見出し用と本文用を選び、読みやすさとブランドらしさを両立させます。これらの視覚要素は互いに調和させ、かつ競合とも差別化できるよう意識しましょう。 ブランドガイドライン策定とタッチポイント展開 最後に、定めた要素を継続的に活用するための仕組みを作ります。ブランドガイドラインとは、ロゴの使用ルールや色指定、フォントの規定、トーン&マナーなどブランド表現の基準をまとめたドキュメントです。ガイドラインを策定して共有すれば、誰もが同じ基準でブランドを表現できるようになります。このガイドラインに沿って実際のタッチポイントに展開しましょう。Webサイト、SNSアカウント、商品パッケージ、名刺、店舗看板など、あらゆる顧客接点ごとにデザインを整えます。必要に応じて社内説明会を開くなど、運用体制も整えましょう。 タッチポイント別デザイン実践例 ブランドデザインを具体的に適用する際、タッチポイントごとに気をつけたいポイントがあります。ここでは主要な接点についてデザインのコツを紹介します。 Webサイト・UX/UI(見た目や操作性/ユーザー体験)最適化のチェックリスト 自社のWebサイトはブランドの顔とも言える存在です。以下のチェックリストで、ブランド視点からサイトを見直してみましょう。 ●サイト全体でブランドのロゴやカラーが一貫して使用されているか●ターゲットに合わせて使いやすいナビゲーションやUI設計になっているか●コンテンツの文章トーンがブランドの人格に合致しているか●スマートフォンでも見やすいレスポンシブデザインになっているか 上記を満たすことで、ユーザーはWeb上でも違和感なくブランド体験を得られます。 パッケージ・印刷物で世界観を統一するコツ 商品パッケージやパンフレットなどの印刷物でも、ブランドの世界観を表現しましょう。ポイントをいくつか挙げます。 ●パッケージにはブランドカラーやロゴを明確に反映させ、店頭でも一目で自社商品とわかるようにする●梱包材やラベルの素材・質感もブランドの価値観に沿ったものを選ぶ●パンフレットや名刺などの印刷物もテンプレートを定めてレイアウトやフォントを統一し、デジタル(Web/SNS)のデザインとズレが生じないようにする 細部に至るまで統一されたデザインを施すことで、顧客は無意識のうちに「しっかりしたブランドだ」という印象を持ってくれます。 SNS/広告クリエイティブで認知を広げる方法 SNS投稿や広告バナーなどのクリエイティブでも、ブランドデザインの力を最大限に活用しましょう。 ●SNS投稿のビジュアルにはブランドの世界観を反映させる(フィードの色調や写真のテイストを統一する)●投稿文や広告コピーもブランドのトーン&マナーに沿った言葉遣いに統一する●ハッシュタグやキャンペーンテーマにブランドのメッセージを盛り込み、認知拡大と共感を狙う。また、SNS上でユーザーと積極的に交流し、ブランドストーリーを共有することでファン化を促します SNSは拡散力が高い反面、プラットフォームごとの文化に合わせた表現も必要ですが、芯となる世界観は統一しましょう。 よくある失敗と回避策 ブランディングデザインの取り組みでは、注意しないと陥りがちな失敗パターンも存在します。ここでは、よくある失敗例とその回避策を紹介します。 ロゴ先行で戦略がぶれるパターン ブランド戦略を固める前にロゴなど見た目から先に決めてしまい、後から軸のズレが生じるケースです。土台となるブランドの方向性が定まっていない段階でロゴやスローガンを作ると、「想定と違う」と後から修正が必要になることがあります。この失敗を避けるには、まずビジョンやバリューなどブランド戦略を明確に策定し、その戦略を表現する手段としてデザインに取り掛かる順序を守ることが重要です。 社内理解不足による運用崩壊 デザインを整備しても、社内でその意図やルールが共有されていなければ現場で一貫した運用ができずブランドが崩れてしまいます。例えばスタッフが独自に異なるデザインの資料を使ったり、SNS担当がブランドらしくない口調で発信してしまうケースです。防ぐにはガイドラインの配布に加え、社内研修やミーティングで内容を浸透させることが大切です。全員がブランドの担い手だという意識を持ち、統一されたブランド体験を提供できる環境を整えましょう。 KPI未設定で効果検証できないリスク ブランド施策は短期的に効果が見えづらいため、KPI(重要業績評価指標)を設定せず取り組むと結果が把握できなくなります。例えばロゴ刷新後に認知度がどれだけ向上したか測っていなければ、投資対効果を示せません。この失敗を避けるには、事前に「3ヶ月後に認知度◯%向上」など具体的な目標を決め、施策後にアンケート調査やデータ分析で検証することが重要です。結果を可視化しておけば、成功点・改善点が把握でき、次の戦略に活かせます。 ブランディングデザインを推進するツール・リソース 初心者でもブランディングデザインを進めやすくするために、便利なツールや参考になるリソースを活用しましょう。 オンラインデザインツール(Figma・Canva・AdobeXD)の活用法 Figmaなどのオンラインデザインツールを使えば、チームでUIデザインを試作・共有できます。Canvaならテンプレートを利用して初心者でも簡単にロゴやバナーを作成可能です。これらを活用すれば、スピーディかつ低コストにブランドのビジュアルを整えられるでしょう。 ブランドガイドラインテンプレートの使い方 ブランドガイドラインは、有名企業の公開資料やオンラインの雛形を参考にすると作りやすくなります。テンプレートを使えば、ロゴの使用規定やカラーコード一覧、フォント指定、文章トーンの注意点など必要な要素を漏れなく洗い出せます。後は自社向けにカスタマイズすれば、効率的にガイドラインを整備できるでしょう。 外部パートナー(デザイン会社/コンサル)の選び方 デザイン会社やブランディングコンサルに依頼する場合は、過去の実績や自社業界の経験を確認し、目指すイメージとの相性を見極めましょう。事前の打ち合わせでこちらのビジョンや課題を伝え、的確な提案をしてくれるかも重視すべきです。費用やサポート体制を含め総合的に判断すれば、より自社に合ったパートナーを選べます。適切な外部パートナーから専門支援を得れば、ブランドデザインを一層洗練させられるでしょう。 施策効果を測定する指標と改善フロー ブランド施策の成果を測定し、改善に活かすことも重要です。ここでは主な指標と改善方法を紹介します。 ブランド認知度・想起率の測定方法 ブランド認知度はターゲット層で自社ブランドを知っている人の割合で、アンケート調査で「◯◯というブランドを知っていますか?」と尋ねて測定します。ブランド想起率は、特定カテゴリで最初に思い浮かぶブランドとして自社が挙がる割合で、「◯◯といえば思い浮かぶブランドは?」と自由回答で質問し、自社名が出た割合を算出します。認知度は接触経験を、想起率は印象の強さを示す指標で、施策の前後でどれだけ変化したかを追うことでブランド浸透度を評価できます。 NPS(顧客ロイヤルティを測る指標)の読み解き方 NPS(ネットプロモータースコア)は顧客のブランドに対する愛着度を測る指標です。「このブランドを他者に薦めたいか」を0〜10点で答えてもらい、点数の高い層の割合から低い層の割合を引いて算出します。スコアが高いほど熱心なファンが多いことを意味します。NPS以外にもリピート購入率や顧客生涯価値(LTV)などでロイヤルティを把握できます。これらを定期的に確認すれば、ブランド施策が顧客の忠誠心向上につながっているか評価できます。 A/Bテストでタッチポイントを最適化する デザイン改善の際にはA/Bテストで効果を検証しながら進めるのがおすすめです。例えばWebサイトのCTAボタンの色違いA案とB案でクリック率を比較すると、一方のほうが高いといった結果が得られます。このように一度に一要素だけ変更してテストすることで、どの違いがユーザーの反応に影響を与えたのか明確に把握できます。各タッチポイントでこれを繰り返し、定量データに基づいて最適なブランド表現を追求しましょう。 自社らしさを軸に、継続的なブランディングを ブランディングデザインは、一度作って終わりではなく継続的に磨き続ける経営課題です。自社らしさ(独自の価値観や強み)を軸に、時代や顧客の変化に合わせてブランド体験をアップデートし続けることで、強いブランドが築かれます。 初心者にとって難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえてステップを踏めば着実に前進できます。小さなことから実践を始めてみてください。継続的な改善と一貫性の積み重ねにより、あなたのブランドは必ずや独自の輝きを放つようになるでしょう。今日からの実践が未来の強いブランドへの第一歩です。
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  • ランディングページ制作の流れを徹底解説【初心者向け】

    はじめてランディングページ(以下、LP)を制作するとなると、「何から始めれば良いのだろう?」「どんな手順で進めれば失敗しないだろう?」と不安に感じる方も多いでしょう。特に中小企業の経営者や企業のWeb担当者の方であれば、限られたリソースの中で効果的なLPを作りたいと考えているはずです。この記事では初心者の方に寄り添いながら、LP制作の基本から具体的な流れ、そして公開後の運用まで丁寧に解説します。ポイントを押さえ順を追って進めれば、初めてでも成果の出るLPを作ることができます。それでは、LP制作の全体像を見ていきましょう。 LPの基礎知識 まずはLPの基本的な知識について押さえておきましょう。LPがどのようなものか、その目的や特徴を理解することで、後の制作フローもスムーズに把握できるようになります。 LPとは?その目的と役割 LPは「LandingPage」の略で、もともとはユーザーが最初に「着地」するページ全般を指す言葉です。しかし一般的には、特定の商品やサービスに関する情報を1ページに集約し、訪問者に特定の行動を促すことを目的とした縦長のWebページを指します。例えば資料請求用のLPや、新商品販売のためのLPなどが典型です。 LPの最大の目的は、訪問者に一つの明確なアクション(コンバージョン)を取ってもらうことです。コンバージョンとは、商品の購入、問い合わせフォームの送信、ニュースレター登録など、そのページで狙ったゴール行動のことを指します。LPはこのコンバージョンを達成するために構成・デザインされていて、訪れたユーザーが興味を持って内容を読み進め、最終的に行動してもらえるように作られています。 LPの特徴と通常ページとの違い コンバージョンを取るために、LPにはいくつか特徴があります。以下に主なポイントを紹介します。 一枚完結型の縦長ページLPは複数のページにまたがらず、スクロールで完結する長いページ構成になっていることが一般的。最後まで読んでもらい、流れるようにユーザーを説得するレイアウトです。外部へのリンクが少ないLPでは通常、他のページへのナビゲーションメニューや外部サイトへのリンクを極力排除します。ユーザーが途中で離脱せず、ページ内の情報に集中してもらうための工夫です。特定の集客経路と連動LP自体が勝手に多くの訪問者を集めるわけではありません。多くの場合、リスティング広告(検索連動型広告)やSNS広告、メールマーケティングなど特定の集客施策の着地先としてLPを設置し、広告からの流入者に向けて作られます。そのため、LP上のメッセージは広告での訴求内容と一貫性を持たせる必要があります。 以上のように、LPは通常のホームページやサービス紹介ページとは異なり、「一つの目的に特化しユーザーをゴールまで誘導するための特別なページ」です。その分、マーケティング戦略に基づいた設計が重要になります。ただデザインが美しいだけでは十分でなく、ユーザーの心理を理解し行動を促すシナリオが求められます。言い換えれば、LP制作には企画力(マーケティング)・文章力(コピーライティング)・デザイン/コーディング力といった複数のスキルがバランスよく必要になるのです。これらを踏まえて、次章から具体的な制作の流れに移りましょう。 制作前の準備 LP制作を成功させるには、作り始める前の準備段階が肝心です。ここで目的や対象を明確にし、伝える内容を整理しておくことで、後の工程が格段に進めやすくなります。闇雲に作業を始めず、まずはしっかりと計画を立てましょう。 LPの目的・目標の設定 まず行うべきは、そのLPの目的を明確に定めることです。なぜそのLPを作るのか、ユーザーに最終的にどういう行動をとってほしいのかをはっきりさせましょう。LPの目的は企業やプロジェクトによって様々ですが、例えば以下のようなものが考えられます。 商品購入の促進新商品の販売ページとして作成し、訪問者にその場で購入してもらう。お問い合わせの獲得自社サービスに関心を持った見込み客から問い合わせフォーム送信というアクションを得る。資料ダウンロードや会員登録ホワイトペーパー(資料)のダウンロードやメルマガ登録、アプリのインストールなどリード獲得を目的とする。 「LPを作ること自体」が目的になってしまわないように注意が必要です。あくまでビジネス上のゴール(KGI)を達成するための手段としてLPがあるという位置づけを忘れないようにしましょう。例えば「問い合わせ件数を月に20件獲得する」といった具体的な目標を掲げ、それを最終目標(KGI)とします。その上で、KPI(重要業績評価指標)と呼ばれる中間指標も設定しておくと便利です。KPIとはKGI達成に向けた過程を測る指標で、例えば「LPの訪問数」「コンバージョン率(CVR)」「ページ滞在時間」などが該当します。こうした数値目標を事前に決めておけば、公開後の効果測定や改善もしやすくなります。 ターゲット・ペルソナの設定 LPの目的が定まったら、誰にそのLPを見てもらい、行動してほしいのかを具体的にイメージします。これがターゲット設定やペルソナ設計と呼ばれる作業です。 ターゲットとは年齢・性別・地域・職業などで区切った想定顧客層のことです。一方、ペルソナはさらに踏み込んで、架空の具体的な人物像を作り上げたもの。例えば「東京都在住の30代女性、会社員でWebマーケティングに興味がある」など、詳細な人物設定を行います。ペルソナには職業、家族構成、趣味、抱えている課題やニーズまで盛り込むと理想的です。 ターゲットやペルソナを明確にすることで、その人に響くデザインやコピーが見えてきます。例えば若年層向けなのかシニア向けなのかで好まれるデザインは変わりますし、主婦層と学生層では刺さるメッセージも異なります。LPは「誰に伝えるか」によって最適解が変わりますので、「どんな人に読んでもらいたいか」を制作前に必ず設定しておきましょう。 訴求ポイントの検討と競合調査 次に、ユーザーに何を伝えるか(訴求内容)を検討します。設定したターゲットに対して、あなたの提供する商品・サービスのどんな点をアピールすれば一番響くでしょうか。 訴求の切り口は様々考えられます。例えば同じ商品を売る場合でも、以下のように伝え方次第で強調点が変わります。 品質の高さ素材や製造工程にこだわり抜いた高品質であること。 価格の安さ競合製品よりも割安でコストパフォーマンスに優れること。独自のメリット特許技術や独自サービスによる他にないメリットが得られること。実績や信頼性利用者数ナンバー1、〇〇賞受賞、お客様満足度95%などの実績があること。 サポート・保証アフターサービスが充実、返金保証あり等、購入後も安心できること。 また、自社の商品・サービスの強みを洗い出し、ターゲットにとって最も魅力的に映るポイントは何かも考えましょう。それがLP全体のテーマやメインメッセージになっていきます。 可能であれば競合他社のLPや市場動向のリサーチもしておきましょう。他社がどのような訴求でLPを作っているのかを知ることで、自社LPで差別化すべきポイントが見えてきます。競合のLPを実際に見て、良い点・悪い点を分析し、自社では「ここは負けない」「ここはさらに強調しよう」という戦略を立てるのも有効です。ただし、単に真似をするだけでは自社の魅力が伝わりにくくなるため、自社ならではの独自価値を訴求できるように意識してください。 最後に、準備段階として必要な素材の収集も忘れずに行いましょう。LPに掲載する商品画像、会社ロゴ、図表やデータ、顧客の声など、コンテンツ制作に必要となる素材を事前に集めておくと、後の工程がスムーズです。以上の準備を経て、「誰に・何を伝えて・どんな行動をしてもらいたいか」が固まったら、具体的なページ制作に進みます。 構成設計とワイヤーフレーム 準備した内容をもとに、LP全体の構成を設計する段階に入ります。いきなりデザインやコーディングを始めるのではなく、まずは何をどの順番で伝えるか骨組みを作りましょう。この構成設計をしっかり行ってワイヤーフレーム化しておくことで、後の文章作成やデザイン作業が格段に進めやすくなります。 ランディングページの構成要素 LPの内容を考える際には、典型的なページ構成の要素を踏まえると組み立てやすくなります。効果的な構成はターゲットや訴求内容によって変わりますが、一般的にLPには次のようなセクションが盛り込まれます。 ファーストビュー(第一印象ゾーン)ページ最上部のエリアです。キャッチコピー(メイン見出し)と魅力的なビジュアル、そして目立つCTA(CallToAction)ボタンを配置します。訪問者が最初に目にする部分なので、「このページには自分に有益な情報がありそうだ」と思わせるインパクトが必要です。課題提起・共感セクションユーザーが抱えているであろう課題や悩みを示し、「あなたの気持ちわかりますよ」と共感を得るパートです。続けて、その課題を解決する方法として自社商品・サービスを提示する流れに繋げます。商品・サービス紹介セクション提供する商品やサービスの特徴・詳細を説明するパートです。ただし単なるスペックの羅列ではなく、ユーザーにとってのメリット(ベネフィット)と結び付けて語ることが重要です。「このサービスを利用すればあなたの◯◯が改善します」のように、ユーザー視点で価値を伝えましょう。社会的証明セクションユーザーの不安や疑念を払拭するために、信頼性を示す情報を盛り込みます。具体的には、「導入企業〇社」「お客様の声・体験談」「〇〇賞受賞」「第三者機関の評価」などです。他者からの推薦や実績データは、ユーザーの背中を押す強力な材料になります。クロージングセクションLPの最後の部分では、改めて主要なメッセージを強調し、CTAボタンを配置して締めくくります。例えば「今すぐ無料で試してみる」「お問い合わせはこちら」といった具体的な行動を促す呼びかけをします。場合によってはFAQ(よくある質問)を最後に載せ、疑問点を解消して終わる構成も有効です。 上記は一例ですが、どんな構成にするにせよ重要なのは「ユーザーをいかにスムーズにゴールまで誘導できるか」です。ユーザー視点で読み進めたときに自然と興味が深まり、途中で離脱せず最後のCTAまで到達できる流れを意識しましょう。 ワイヤーフレームの作成 構成案が固まったら、次にワイヤーフレームと呼ばれるページレイアウトの設計図を作成します。ワイヤーフレームとは、簡易的な枠組みでページの配置を示したものです。色や細かなデザイン要素は置いておき、各セクションにどんな情報を配置し、ボタンや画像をどこに置くかを視覚的に示します。 ワイヤーフレームを作る目的は、デザイン着手前にページの全体像を関係者で共有し、認識を合わせることです。手書きのスケッチでも構いませんし、PowerPointや専用のデザインツール(FigmaやCreative Cloudなど)を使っても良いでしょう。例えばファーストビューには大見出しと写真、その下に3つの特徴ポイントを並べて……といった具合に、ブロックごとに配置を考えていきます。 作成したワイヤーフレームは、チームでレビューしてみましょう。「ユーザーが迷わず情報を理解できるか」「CTAは適切な位置に配置されているか」「冗長なセクションや不足している情報はないか」などをチェックします。特にスマートフォン表示を念頭に、モバイル時に縦長の順番で見ても違和感がないかも確認しましょう。必要に応じてPC用・モバイル用双方のレイアウトを計画しておくと安心です。 ワイヤーフレーム段階でページレイアウトをしっかり練り上げておけば、後のコピーライティングやデザイン作業に移った際、「やっぱり構成を変える」といった手戻りを減らすことができます。地味な作業に思えるかもしれませんが、LP制作ではこの設計段階が非常に重要です。 コピーライティングのコツ LPの構成が決まったら、いよいよコピーライティング(文章作成)に取りかかります。どれだけデザインが美しくても、伝える言葉に説得力がなければユーザーは行動してくれません。ここでは初心者の方でも押さえておきたい、LPコピー作成のコツを紹介します。 キャッチコピー作成のポイント まず注力すべきは、LPの顔とも言えるキャッチコピーです。ページ最上部に配置されるキャッチコピーは、訪問者の注意を引き付け「この先を読んでみよう」と思わせる決め手になります。効果的なキャッチコピーのために以下のポイントを意識しましょう。ベネフィットを伝えるキャッチコピーでは、商品やサービスを使うことで得られるベネフィット(嬉しい未来)を端的に示すことが重要です。ユーザーは商品そのものよりも、それによって得られるメリットに価値を感じます。「高性能な〇〇です」よりも「〇〇で作業時間が半分に!あなたの時間が増えます」のように、ユーザーが得られる良い変化を盛り込みましょう。ユーザーの興味を喚起する読み手の関心に訴えかけ、「続きを読まずにいられない」と感じさせる表現を目指します。疑問形や意外性のあるフレーズ、あるいは「もし〇〇ができたら...…?」のように想像を促す切り口も有効です。ただし奇をてらいすぎて何を提供するLPかわからなくなっては逆効果なので、伝える内容とのバランスが大切です。簡潔かつ強い印象を与える一目で読める短さでありながら心に残るフレーズが理想です。余分な修飾語を省き、平易で力強い言葉選びを心がけます。専門用語を使う場合は、ターゲットが理解できる用語かどうかを考えましょう(必要に応じて補足説明も検討します)。 キャッチコピーはLP全体の成果を左右すると言っても過言ではありません。チームでいくつか案を出し、ターゲットの視点で魅力的かどうか検討してみてください。可能であれば実際の顧客や第三者の意見を聞き、刺さる表現になっているか確認できるとベストです。 ボディコピー作成のポイント キャッチコピーで興味を引いたら、次は続くボディコピー(本文部分)でユーザーを説得し、コンバージョンへと導きます。ボディコピー作成時のコツを見ていきましょう。 構成に沿って論理的に展開する前段階で決めた構成(ストーリーライン)に沿って情報を盛り込んでいきます。最初に抱えた課題提起から始まり、解決策として商品紹介、メリット列挙、証拠提示、最後にCTAという流れであれば、その順番通りに文章を作成します。構成が固まっていれば、各セクションで「何を伝えるべきか」は明確なはずです。決めた順序を崩さずに書くことで、一貫性のある筋の通った文章になります。読み手の疑問や不安を解消するユーザーが読み進める中で感じるであろう疑問や不安を予測し、それに答える情報を入れましょう。例えば価格に対する疑問、品質や保証への不安、他社との比較など、躊躇するポイントがあれば事前に回答しておくイメージです。FAQを設けたり、文中で「よくある質問」に触れるのも有効です。メリットと根拠を具体的に示すユーザーが最終的に行動するかどうかは、提供価値の魅力度と信頼感にかかっています。メリットを伝える際は可能な限り具体的な数字や事例を用いましょう。「作業効率が向上します」より「作業時間が平均30%短縮しました」の方が説得力があります。また信頼の根拠として、実際の導入事例や顧客の声、第三者評価も交えてください。読みやすい工夫長い文章がびっしり続くと読む気が失せてしまいます。段落ごとに適度に改行を入れる、箇条書きを活用してポイントを整理する、重要なキーワードは適宜強調(太字など)するといったレイアウト上の工夫も大切です。専門用語やカタカナ語はターゲットによっては平易な表現に言い換えたり補足説明を添えたりして、つまずきなく読めるよう心がけます。自然な誘導と明確なCTALP全体を通して、最終的にCTAボタンをクリック/タップしたくなる心理状態を作ります。押し付けがましくなく、しかし背中を押す明確な呼びかけを文中や最後に配置します。CTAの文言は行動を直接促す表現(「無料で試してみる」「今すぐ問い合わせる」など)にし、ユーザーがクリックした後に何が起こるか(例:「お問い合わせフォームへ進みます」など)も分かると安心です。 文章を書くことに慣れていないと難しく感じるかもしれませんが、一人のユーザーに直接語りかけるように書くことを意識すると軸がぶれにくくなります。書いた後は時間をおいてから読み返し、「伝わりにくい表現はないか」「余計な内容を入れていないか」を推敲しましょう。可能であればチーム内でレビューし、客観的なフィードバックをもらうと品質が上がります。 デザインとUI/UX 内容(コピー)が固まったら、次はページのデザインに移ります。デザインは単に見た目を良くするだけでなく、ユーザーが情報を理解しやすく、また直感的に操作(行動)しやすくするUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザー体験)の設計が重要です。ここでは、LPデザインを行う際の基本ポイントとユーザビリティ上の注意点を確認しましょう。 LPデザインの基本ポイント 初心者の方がLPデザインを考える際にも、押さえておきたい基本的なポイントがあります。以下に主なものを挙げます。 ファーストビューを最重視ページを開いて最初に表示される範囲(ファーストビュー)のデザインが何より重要です。ここでユーザーの心を掴めなければ、スクロールして続きを読んでもらえない可能性があります。魅力的なビジュアル(製品写真やイメージ画像)を配置し、コピーも視認性高くレイアウトします。特にスマホ表示では最初の数秒で離脱されないよう、画面上部の情報設計にこだわりましょう。統一感のあるビジュアルページ全体のトーンやカラーは統一して、世界観を一貫させます。あまりに色が散らばったりテイストがバラバラだと信頼感を損ないます。ブランドカラーがあれば基調にし、強調したい部分にだけアクセントカラーを使うなど、色数は絞って洗練された印象を目指します。読みやすさを重視テキストはフォントサイズや行間を適切にとり、長文になりすぎないよう段落で区切ります。強調したい見出しやキーワードは大きめの文字や余白を使って目立たせ、メリハリをつけます。背景と文字色のコントラストにも配慮し、薄い色の背景に淡い文字といった読みにくい配色は避けます。ユーザーがストレスなく読み進められるデザインが基本です。 視線誘導を考えるデザインにはユーザーの視線をゴール(CTA)まで誘導するナビゲーションの役割もあります。重要な要素ほど目立つ配置・デザインにし、関連する情報は近くにまとめます。例えば、「特徴一覧」の隣にそのまま「申し込みボタン」があれば文脈上クリックされやすいでしょうし、矢印や指示線などで下方向への誘導を示すのも有効です。読んでほしい順番に視線が動く工夫を凝らしましょう。 画像や動画の活用テキストだけでは伝わりにくい内容も、画像や動画を用いることで直感的に理解させることができます。商品の使用イメージ写真、グラフ化したデータ、あるいは短い紹介動画など、適切に挿入してユーザーの興味を持続させます。ただしファイルサイズが大きすぎる素材は読み込み速度を遅くするため、最適化や圧縮を施して使用します。スマートフォン対応(レスポンシブデザイン)現在では多くのユーザーがスマホからLPを閲覧します。必ずスマホでの見え方を考慮し、レスポンシブデザイン(画面サイズに応じてレイアウトが変わる設計)を実装しましょう。PCで良くてもスマホでボタンが押しにくい、文字が小さすぎるといったことがないようにします。必要ならスマホ専用にレイアウトを簡略化することも検討します。 ユーザビリティとUI/UXの注意点 デザインと並行して、ユーザビリティ(使いやすさ)の観点でもLPをチェックしましょう。いくら見た目が綺麗でも、ユーザーが操作や理解に困るページでは成果が上がりません。以下の点に注意してUI/UXを最適化します。 CTAボタンの見やすさ・押しやすさCTAはLPの核です。ボタンのサイズは十分大きく、派手すぎなくとも背景とのコントラストを強くしてひと目で「クリックできる」と分かるデザインにします。周囲に余白をとり埋もれないようにし、可能ならスクロールしても常に画面にCTAが残る固定表示やページ内に複数回配置することも検討しましょう(長いLPでは要所ごとにCTAを配置するのが一般的です)。フォームの最適化LPの目的によっては入力フォームが設置されます。フォームはできるだけ項目数を絞り、ユーザーの負担を減らします。例えば、住所や電話番号が必須でないなら省く、入力補助を付けるなどして、送信完了までのハードルを下げましょう。エラー時のメッセージも分かりやすく表示されるようにし、ストレスなく送信できる体験を作ります。ページ表示速度の向上ユーザーはページの読み込みに数秒以上待たされると離脱する可能性が高まります。画像の遅延読み込み(LazyLoad)を活用する、画像や動画ファイルを圧縮する、不要なスクリプトを削除するなどして、できる限り表示を高速化しましょう。サーバーの応答速度改善やCDNの利用も場合によっては有効です。特に広告からの流入の場合、速度の遅さは直帰率に直結するため注意が必要です。 煩雑な要素を避ける自動再生する音声や頻繁に出現するポップアップ、過剰なアニメーションなど、ユーザーの注意を妨げる可能性のある要素は慎重に扱います。必要な場合でもタイミングや頻度を調整し、あくまでコンバージョンの邪魔をしない範囲に留めます。シンプルで目的に集中できるUIを心がけましょう。 アクセシビリティへの配慮余裕があれば、色覚に障害がある方にも情報が伝わる配色か、画像に代替テキスト(alt属性)が適切に設定されているか、といったアクセシビリティ面の確認もしておくと良いでしょう。アクセシビリティ対応は直接コンバージョンに関係ないように思われがちですが、結果的に誰にとっても使いやすいLPにつながり、ユーザビリティ向上に寄与します。 以上の点を踏まえ、デザインとUI/UXを詰めていけば、LPの形がかなり具体化してきます。デザインに不安がある初心者の方は、最近の他社LPのデザインをいくつか見て研究したり、デザインギャラリーサイトを参考にしたりするのも良いでしょう。最悪デザインが思うようにできなくても、次に述べるようなテンプレートやツールを活用する手段もありますので、あまり心配しすぎず進めてください。 HTML/CSSなど開発面 デザインの方向性が固まったら、次はいよいよ実装(コーディング)のフェーズです。LPを実際にWeb上で公開できる形にしていきます。ここでは、LPの開発方法やコーディング時のポイントについて解説します。 LP実装の方法と準備 LPの開発には大きく分けて自分でコーディングする方法と、ツールやサービスを利用する方法の2通りがあります。 自分でコーディングする場合HTML/CSS、必要に応じてJavaScriptを用いて一からページを作成します。デザインカンプ(完成見本)があればそれをWeb上に再現する作業となります。コーディングには専門知識が必要になるため、初心者の場合は少しハードルが高いかもしれません。社内にエンジニアがいる場合は協力を仰ぐか、外部の制作会社に外注するケースも一般的です。ただ、近年はWordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)を使ってテンプレートからLPを作ったり、HTML/CSSの知識がなくても操作できるLP作成ツールも登場しています。後者については次で説明します。ツールやサービスを利用する場合コーディングの知識がなくてもLPを作れるサービスとして、日本ではペライチ、Wix、Jimdo、STUDIOなどが知られています。これらはブラウザ上の操作だけでテンプレートを編集し、公開まで完結できるツールです。ドラッグ&ドロップでレイアウトを組めるので直感的に制作可能で、サーバーやドメインの用意も不要(サービス側でホスティングされる)という利点があります。デザインの自由度ではやや劣ることもありますが、初心者が短時間でそれなりのクオリティのLPを用意するには有効な選択肢でしょう。また、WordPressを使い慣れている場合はLP向けの有料テーマやプラグインを利用して作成する方法もあります。これなら既存のサイト内でLPを増やすことも容易です。 いずれの方法を取るにしても、LPを公開する環境(ドメインやサーバー)の準備が必要になります。自社サイト内にLP用ディレクトリを作って公開するなら既存サーバーを使えますが、独立したドメインで公開する場合は新たにドメイン取得とサーバーレンタルが必要です。ツール利用時はサービス側のドメイン(〇〇ペライチ.jpなど)で公開できる場合もありますが、ビジネス用途でブランディングを重視するなら独自ドメイン設定を検討しましょう。ドメイン取得やサーバー設定については本記事の範囲を超えますが、初心者の方はレンタルサーバー会社のマニュアルなどを参照しながら進めてみてください。 コーディング時のポイント ここでは自分でコーディングを行う際に留意しておきたいポイントを簡単にまとめます。ツールで作成する場合も、内部では同じような処理が行われているため、仕組みを知っておくと役立つでしょう。 内容に即した適切なタグを使うHTMLをマークアップする際は、見出しは<h1>〜<h3>タグ、段落は<p>タグ、強調は<strong>タグといった具合に、内容に即した適切なタグを使います。これにより検索エンジンにも構造が伝わりやすくなり、SEO面でも有利です。また、後からコードを修正する際にも理解しやすくなります。CSSでデザインを再現CSSはスタイルを指定する言語です。ワイヤーフレームやデザインカンプ通りに見た目を再現していきます。なるべく外部CSSファイルにまとめ、共通スタイルはクラスを使って適用することで、コードの重複を避け保守性を高めます。最近はFlexboxやGridなど便利なレイアウト手法もあるので活用しましょう。なお、LP制作に特化したCSSフレームワークやUIキットを使うと、あらかじめ用意されたパーツを組み合わせて効率よく作れる場合もあります。レスポンシブ対応PCとスマホでレイアウトを変える必要がある場合、Webサイトのデザインを、ユーザーのデバイス(PC、スマホ、タブレットなど)や画面サイズなど、様々な条件に応じて変更するCSSの機能であるメディアクエリを利用してスタイルを出し分けます。あるいはBootstrapなどレスポンシブ前提のフレームワークを使う手もあります。様々な画面サイズで見ても崩れないデザインにするために、実機やブラウザのデベロッパーツールで都度確認しながら調整しましょう。ブラウザ間の動作検証ChromeやSafari、Firefox、Edgeなど主要なブラウザで表示が大きく異ならないか検証します。特にCSSの一部プロパティやJavaScriptの挙動はブラウザ依存で差が出ることがあるため、必要に応じて特定のブラウザ向けに異なるスタイルや機能を提供できるベンダープレフィックスを付与したり、最近の機能をサポートしていない古いブラウザーでその機能を使えるようにするポリフィルを導入したりします。最近は大きく崩れることは減りましたが、念のため複数環境でチェックするといいでしょう。軽量で最適なコードLPは1ページに情報を詰め込むため、どうしてもデータ量が多くなりがちです。少しでも表示を速くするため、画像は適切なサイズにリサイズ&圧縮し、不要なコメントや改行はビルド時に削除、JavaScriptも必要最低限に留めます。動画を背景に使う場合などは、容量に注意し、必要なら短くカットしたり静止画で代替することも検討します。SEOと計測の埋め込みLP自体でSEOを狙う場合、適切なタイトルタグやディスクリプション、見出し内のキーワード配置など基本的なSEO対策もコード上で行います。ただし多くのLPは広告前提なので検索流入は重視しないケースも多いです。それでも計測タグは必ず埋め込んでおきましょう。GoogleAnalyticsなどのアクセス解析タグや、コンバージョン計測のためのタグ(リスティング広告やSNS広告用のコンバージョンピクセルなど)はヘッドやボディ末尾に設置します。また、フォームがある場合は送信後のサンクスページを用意し、そこでコンバージョン計測するのが一般的です。 以上がコーディング時のおおまかなポイントです。初心者の方で「やっぱり自分でコードを書くのは難しそう……」と思われた場合、前述のツール活用を積極的に検討してみてください。最近のツールやCMSテーマは非常に高機能で、専門知識がなくても一定レベルのLPを公開可能です。もちろん、細部までこだわるなら手作業のコーディングが必要ですが、まずはツールで作ってみて徐々にHTML/CSSを学ぶのも良いアプローチです。 公開前のチェック 苦労してLPのデザイン・実装まで完了したら、リリースの前に最終チェックを行いましょう。ここでミスを発見して修正しておくことで、公開後のトラブルを防ぎ、初訪問のユーザーにも安心して閲覧してもらえます。チェックすべきポイントを整理します。 表示・機能の最終確認 まずは、LPが意図した通りに表示され、すべての機能が正常に動作するかを確認します。 マルチデバイス表示確認PC、スマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスでレイアウトが崩れていないかチェックします。特にスマホ表示は必須です。画面の向き(縦横)でも問題なく見られるか確認しましょう。必要に応じて微調整を加えます。リンク・ボタンの動作確認LP内のすべてのリンクが正しく遷移するかテストします。外部リンクがあればURL切れになっていないか、電話番号リンクやメールリンクが動作するかも確認します。CTAボタンをクリック/タップした際に期待通りのアクションが起こるか(問い合わせフォームが開く、購入ページに飛ぶ、スクロールダウンする等)テストし、不具合があれば修正します。フォームのテスト送信フォームが設置されている場合は、実際にテスト送信を行います。全ての必須項目に入力し送信できるか、バリデーション(入力チェック)は正しく動いているか、不備のある入力をした際に適切なエラーメッセージが出るか確認します。送信後にサンクスページや完了メッセージが表示される設定であれば、その表示もチェックします。さらにフォーム経由の内容が担当者にメール通知される仕組みなら、メールが届くかまでテストしましょう。特殊なスクリプトや表示要素の確認動画コンテンツがあれば再生できるか、アニメーション表示が意図通り動くか、プログラムによる動的なコンテンツ(カルーセルスライダーなど)があればそれもユーザー操作に反応するか確認します。ブラウザのコンソールエラーも念のため確認し、エラーが出ていれば原因を突き止めて修正します。 コンテンツとSEOのチェック 次に、LPの内容面や基本的な設定についてチェックします。 テキストの校正誤字脱字がないか、表記ゆれ(同じものを指す言葉が「〇〇」と「○○」で混在など)はないか、最終確認します。固有名詞や数値データ、日付など間違えると信頼を損なう情報は特に注意深くチェックしましょう。可能であれば別のメンバーに読んでもらい、新たな視点でミスを発見してもらうと確実です。デザインの統一全体を俯瞰して、フォントや色使いに一貫性が保たれているか再確認します。途中でスタイルを変更した場合、古い部分が残っていないかなど見落としがないようにします。また、画像が正しいものが使われているか(テスト用の仮画像がそのままになっていないか)もチェックします。メタ情報の設定ページのタイトルタグ(<title>)やmetadescription(概要文)が適切に設定されているかも確認しましょう。検索結果に表示される重要な情報なので、まだであれば設定することをおすすめします。特にタイトルタグには簡潔にLPの内容と訴求ポイントを含めると良いです。例:「〇〇サービス|今なら無料トライアル実施中【公式LP】」など。descriptionも120文字程度で要点をまとめます。ソーシャルメディアでシェアされることを想定し、OGPタグ(og:titleやog:image等)を設定しておくのも望ましいです。キーワードの最終チェック広告流入がメインでも、関連キーワードでの自然検索流入がゼロとは限りません。狙いたい検索キーワードがある場合、その語がタイトルや見出し、本文に盛り込まれているか確認します。ただし無理に詰め込みすぎる必要はありません。あくまで自然に文章中で使われていることが重要です。トラッキングの確認Analyticsや広告のコンバージョンタグなど計測コードが埋まっている場合、本当に機能するか確認します。GoogleAnalyticsならリアルタイムレポートで自分のアクセスが反映されるかを見る、コンバージョンタグはテスト用にコンバージョン発生させて計測ツール側でカウントアップするかチェックします。設定漏れや埋め込みミスが意外と起こりがちなので要注意です。ページ速度テスト公開前にGoogleが提供するWebサイトの表示速度を測定して分析、評価するPageSpeedInsightsやLighthouseなどでページ速度を計測し、スコアや改善提案を確認しておきます。もし「画像の最適化」「不要なJSの削減」など提案が出たら、可能な範囲で対応を検討します。特にスマホでの表示速度スコアはシビアなので、最低限「平均以上」になるよう意識してみてください。HTTPSの確認現代のWebサイトでは暗号化通信(HTTPS)が標準です。独自ドメインで公開する場合はSSL証明書の設定を忘れずに行い、アドレスがhttps:// で始まることを確認します。ブラウザで「保護されていない通信」と出る場合は、証明書未設定か、ページ内でhttpのリソースを読み込んで混在コンテンツになっている可能性があります。全てhttpsに統一しましょう。 以上のようなチェックリストをもとに問題がなければ、いよいよLPを本番公開します。社内でダブルチェック・トリプルチェックを経てリリースすることで、公開後のトラブルや手直し作業を最小限に抑えられます。 公開後の運用とLPO LPを公開して終わり……ではなく、公開後こそが本当のスタートです。LPは公開してから運用・検証し、改善を重ねていくことで効果を最大化できます。この段階での活動はLPO(LandingPageOptimization)とも呼ばれ、マーケティング施策の一環として非常に重要です。ここでは、公開後に行うべき運用と最適化について説明します。 集客とアクセス解析の運用 LPを公開したら、まずは十分な訪問者を集めることが必要です。LPは単独では集客力が弱いため、計画していた広告出稿やプロモーションを開始しましょう。例えば、リスティング広告(検索広告)で関連キーワード検索ユーザーを誘導したり、FacebookやInstagramなどSNS広告で興味関心の高い層にアプローチしたり、あるいは自社のメールマガジンやSNSアカウントでLP公開を告知するなどです。広告運用する際は、費用対効果も意識しながら予算配分や入札単価を調整し、目標とするコンバージョン数の獲得を目指します。 十分なトラフィックが集まったら、並行してアクセス解析データの収集・分析を行います。GoogleAnalytics等の解析ツールで、以下のようなポイントをチェックするとよいでしょう。 訪問者数や流入経路何人が訪れ、どのチャネル(広告、検索、SNS等)から来ているか。広告の場合はキャンペーンごとの成果を確認します。ユーザー行動平均ページ滞在時間や直帰率、スクロールの深度など、ユーザーがLP内でどのように行動しているかを見ます。スクロール解析ツールを使えば、ページのどこまで読まれているか可視化できます。コンバージョン率(CVR)訪問者のうち実際にコンバージョン(目標の行動)を取った割合を計算します。例えばLP訪問100人中5人が問い合わせしたならCVR=5%です。コンバージョン完了ページのPV数をカウントする設定にして計測するとわかりやすいでしょう。コンバージョン経路もし可能であれば、ユーザーがコンバージョンに至るまでにLP上でどのボタンをクリックしたか、どのセクションまで読んだかなど詳細を追跡します。これにはイベントトラッキングやヒートマップ解析ツールを組み合わせる必要がありますが、改善のヒントが得られます。 これらのデータを集めることで、現状のLPがどの程度目標を達成できているか、また改善すべき課題はどこにあるかが見えてきます。例えば「思ったよりCTAクリック率が低い」「中盤のセクションで離脱が多い」といった傾向が分かれば、それが次の改善アクションにつながります。 LPOによる継続的な改善 アクセス解析で課題が見つかったら、次はその課題を解決すべくLPの改善に取り組みます。これがLPO(LandingPageOptimization)と呼ばれるプロセスです。改善のサイクルを回し、LPのパフォーマンスを向上させましょう。 主な改善アプローチとしては以下のようなものがあります。 仮説を立てて変更するまずデータやユーザーからのフィードバックをもとに仮説を立てます。「CTAボタンの文言が魅力的でないのでは?」「フォームの項目数が多すぎて途中離脱しているのでは?」「商品の強みが十分伝わっていないのでは?」といった具合です。そして、その仮説に基づきLPの要素を変更します。例えばCTA文言を「お問い合わせ」から「無料相談してみる」に変えてみる、フォーム項目を削減する、キャッチコピーをよりベネフィット重視の文言に書き換えるなどです。 A/Bテストの実施変更の効果を検証するため、A/Bテストを行うことも有効です。一度にすべて変えてしまうと何が効いたのかわからないため、1〜2要素に絞って現行版(A)と変更版(B)の2パターンを用意し、ランダムにユーザーに表示します。そしてコンバージョン率などを比較し、優位な方を採用するという流れです。A/Bテストは専用のツール(Optimizelyなど)を使うと便利ですが、広告の場合は広告側でLPを出し分けして手動で集計する方法もあります。定性的なフィードバックの活用データだけでなく、実際にLPを見たユーザーや第三者の声も改善に役立ちます。可能であればユーザーテストを実施し、「どの部分で迷ったか」「納得できなかったポイントは?」などをヒアリングします。また営業担当者やサポート窓口がいるなら、LPを見たお客様から寄せられた質問や反応をフィードバックしてもらいましょう。例えば「料金プランが分かりにくいと言われた」といった声があれば、その部分を補足説明する改善を検討します。改善サイクルの継続LPの改善に終わりはありません。最初に作ったLPがいきなり完璧に近い成果を出すことは稀で、多くの場合は仮説検証を繰り返して少しずつコンバージョン率を高めていくプロセスをたどります。コンテンツを追加して情報充実を図ることもあれば、逆に情報過多と判断して削ることもあります。定期的にデータをチェックし、できれば月に1回、最低でも四半期に1回は見直しと改善を行うようにしましょう。 また、LPの運用段階では広告や集客チャネルの見直しも並行して行います。もし「LP自体の転換率は良いのに訪問者が少ない」のであれば、広告キーワードやターゲティングの調整、SEO強化など流入を増やす施策が必要です。逆に「多く訪れているが質が低い(コンバージョンしない)ユーザーが多い」なら、集客のターゲットを絞り込むかLP内容をそのユーザー層向けに変えるかの判断が迫られます。 どうしても改善が行き詰まったり、自社内で対応が難しい場合は、LP制作・運用の専門会社に相談するのも一つの手です。プロは多数のLPを改善してきた知見がありますので、客観的な視点でのアドバイスや、より大胆な改良案を提示してくれるでしょう。 大切なことは、LPは作って終わりではなく育てていくものという意識を持つことです。PDCAサイクルを回しながら最適化を続ければ、初めて作ったLPでも時間とともに成果が向上し、ビジネスに大きく貢献してくれるはずです。 効果的なLP制作で、ビジネスを加速させよう 初めてLPを制作する方にとっては、やることが多く圧倒されるかもしれません。しかし、本記事で述べたように一つひとつステップを踏んで進めていけば、決して不可能な作業ではありません。むしろ、LP制作のプロセスを経験することで、Webマーケティングの基礎スキル(ターゲット設定、コピー作成、デザインのポイント、効果検証など)が総合的に身につくはずです。 もし途中で行き詰まったり不安な点があれば、今回の解説を思い出しながら軌道修正してください。また、必要に応じて専門家の意見を取り入れることも検討しましょう。プロの制作会社に依頼するだけでなく、自分で作りつつ要所でアドバイスをもらうという形も可能です。 LPは適切に活用すれば、ビジネスに大きな成果をもたらしてくれます。ぜひ基本に忠実な制作フローとユーザー視点を大切にしながら、効果的なLPを作り上げてください。
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  • Webサイト要件定義とは?初心者でもわかる作り方と成功のポイント

    Webサイトを新しく立ち上げたりリニューアルしたりする際、「何から始めればいいのか分からない」「制作会社にうまく要望を伝えられない」と不安に感じたことはありませんか?そんなときに重要になるのが「要件定義」です。ですが、専門用語が多く、難しく感じる方も多いはず。この記事では、初心者の方にもわかりやすく、Webサイトの要件定義とは何か、なぜ必要なのか、どう進めればよいのかを丁寧に解説します。 Webサイトの要件定義とは? Webサイトの要件定義とは、これから制作・開発するWebサイトについて「実現したいこと」を具体的な仕様として決めていく作業のことです。言い換えれば、クライアントやユーザーからの要求(「~したい」「~が必要」といった要望)を整理し、それを満たすためにどんな機能やコンテンツ、デザイン、環境が必要かを明確にするプロセスです。 例えば新しくWebサイトを作る際やリニューアル時に、サイトの目的・ターゲット・機能などを決めて文書化し、プロジェクトの進め方を計画する工程が要件定義にあたります。要件定義ではサイトの見た目や機能といった表面の仕様だけでなく、制作体制やスケジュールなど裏側の事項も含めて言語化し、関係者全員で共有します。これにより「プロジェクトで何を作るか・何をするか」を最初にハッキリ決めておき、後工程の指針にします。 なお「要件定義 」と似た言葉に「要求定義」がありますが、これは区別が必要です。要求定義とはユーザーや依頼者が「何を実現したいか」というニーズをまとめる段階であり、要件定義はその要求を叶えるために「どう作るか」を具体化する段階を指します。また、後述するように要件定義から作られた成果物が要件定義書であり、これをもとに開発側が詳細な仕様書や設計書を作成していく流れになります。 なぜ要件定義が必要なのか?【トラブル回避と成果の最大化】 要件定義はWeb制作プロジェクトの成功に欠かせない重要工程です。その理由の一つは、プロジェクトの混乱やムダを防ぐためです。要件定義を行わずに見切り発車で制作を始めてしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」「これも追加してほしい」といった手戻りが発生しやすく、結果として余計な時間やコストがかかってしまいます。適切な要件定義によってプロジェクトの目的・ターゲット・必要機能が明確になり、チーム全体で共通認識を持つことで、予期せぬトラブルや遅延を防ぎ、スムーズで的確な制作進行が可能となります 。例えば要件定義書にサイトの目的・ターゲット・機能が詳細に記載されていれば、制作チームは常にそれを参照してブレずに作業を進められ、「やり直し」や「認識違い」を防げるのです。さらに、要件定義はプロジェクトの成果最大化にも寄与します。事前に目的やKPIを定め、ターゲットユーザーに響くコンテンツやWebサイトと利用者の接点であるUI(ユーザーインターフェース)やWebサイトを通じたユーザー体験であるUX(ユーザーエクスペリエンス)を計画することで、最終的にサイト公開後の集客効果やコンバージョン向上といった成果につながります。逆に要件定義が曖昧だと、開発中に関係者からの意見がコロコロ変わって方針ブレが起きたり、追加要望に振り回されて公開時期に間に合わない・クオリティ低下といったリスクも生じます。要件定義をしっかり行うことで、プロジェクト開始後の軌道修正を減らし、計画通りの納期と品質で成果物を完成させる土台が築けます。 要件定義と仕様書・設計書の違いとは? 要件定義と後続のドキュメントである仕様書・設計書の違いも整理しておきましょう。まず要件定義書は上述のとおり、依頼者の要求をもとに「何を実現すべきか」をまとめた資料で、開発着手前に作成されます。これに対し仕様書とは、要件定義書にもとづいてシステムの詳細な仕様(具体的な仕組みや画面挙動等)を記述したドキュメントです。仕様書は開発者やテスター向けに、プロジェクト途中(基本設計や詳細設計の段階)で作成されるもので、要件定義書に書かれた要件を実現するための最終的な完成形のイメージを示す資料といえます。一方、設計書は仕様書を受けて、その仕様をどう実装するかという具体的な方法や工程を示した資料です。例えば要件定義書が「求める要件の一覧」、仕様書が「完成後の詳細な姿(ゴール像)」、設計書が「ゴールに到達するための設計図(プロセス)」と考えると分かりやすいでしょう。まとめると、要件定義書には「どんな機能・性能が必要か」「満たすべき条件や制約は何か」など作るべきものの条件が書かれます。それを受けて仕様書には、要件を満たすための詳細な仕様(画面項目や挙動、データ項目等)が書かれ、さらに設計書には仕様を実現するためのシステム構成や画面レイアウト、プログラム構造など技術的な設計内容が書かれる、という流れになります。要件定義→仕様策定→設計という順序でそれぞれ役割が異なる点を押さえておきましょう。 Webサイト要件定義で明確にすべき6つの要素 Webサイトの要件定義では、特に以下の6つの要素を明確にしておくことが重要です。これらは要件定義書にも必須で盛り込まれる内容であり、初心者の方はまずこの6項目について検討することで抜け漏れを防げます。 ① サイトの目的・ゴールの明確化 まず最初に決めるべきはWebサイトの制作目的やゴールです。なぜそのサイトを作るのか、作って何を達成したいのかをはっきりさせましょう 。この目的がプロジェクト全体の軸となり、以降の要件定義すべての判断基準になります。例えば「新規顧客の獲得」「問い合わせ件数○○%増加」「自社ブランド認知向上」など、具体的な目標指標(KPI)を設定することが重要です。目的・KPIを定めることで、関係者全員の認識を一致させ、サイトで何を達成すべきかブレなく進められます。加えて、現状の課題やサイト制作の背景も整理しておきます。現在抱えている問題点やビジネス上の課題、それをWebサイトでどう解決するかを説明できると、目的と施策の整合性が取りやすく、より的確な戦略立案につながります。また、サイトのコンセプトもここで明文化しておきます。つまり「どのようなターゲットに、どんなメッセージを伝えて、どんな行動を取ってもらいたいか」というサイト全体の方向性です。例えば「若手社会人に商品を知ってもらい問い合わせしてもらう」といったコンセプトが決まれば、デザインやコンテンツの方針もブレにくくなります。目的・ゴール設定は要件定義の出発点にして最も重要な要素です。ここが曖昧だと以降の要件も的外れになってしまうため、しっかり擦り合わせて具体化しておきましょう。 ② ターゲットユーザーとペルソナの設定 次にターゲットとするユーザー層を明確にします。誰に向けたサイトなのかによって、適切なコンテンツやUI/UX、トーン&マナーは大きく変わるためです。可能であれば具体的なペルソナ設計を行いましょう。ペルソナとはサイトに訪れる典型的なユーザー像を細部まで設定した架空の人物像です。年齢・職業・課題・ニーズなどを盛り込んだペルソナを作成することで、チーム内で「このサイトはこの人のためのものだ」という共通認識が生まれ、デザインやコンテンツの方向性が定めやすくなります。例えばターゲットがBtoB向けの意思決定者層であれば、サイトには専門的で信頼性の高い情報や実績データを充実させるといいでしょう。一方、若年層がターゲットならSNS連携やスマホでの見やすさ重視などUI/UX上の配慮も変わってきます。要件定義ではペルソナごとに「そのユーザーはどんな課題を持ち、サイトに何を求めて訪れるか」を考え抜きます。それをもとに提供すべき情報や機能を洗い出すことで、サイトの要件に漏れがなくなり、ユーザーに響くサイト設計が可能に。ターゲットユーザーとペルソナを具体化することは、以降のコンテンツ設計・デザイン要件すべての土台になる重要ステップです。 ③ コンテンツ構成と必要なページ一覧 サイトに掲載するコンテンツの構成やページ構成(サイトマップ)も明確に定義します。どのようなページが何枚必要か、各ページでどんな内容を提供するかを整理する作業です。例えばトップページ、サービス紹介、料金プラン、会社概要、お問い合わせ、FAQ、ブログ...といった必要ページの一覧を洗い出し、カテゴリー分けや階層構造を設計します。この段階では「ユーザーが必要な情報にたどり着きやすい導線か」「情報の重複や抜けはないか」に注意しながらサイトマップ(サイト構成図)を作成するとよいでしょう。リニューアルの場合は既存サイトのページを棚卸しし、統合すべきコンテンツや削除するページも決めていきます。また、コンテンツ構成を考える際にはSEO対策の観点も重要です。ユーザーが検索エンジン経由で訪れることを想定し、必要なコンテンツを充実させたり内部リンク構造を適切に整備したりすることが求められます。例えば現在のサイトで「コンテンツが不足している」「内部リンクが少ない」などの課題があれば、それらを改善できるよう新たなコンテンツ計画に反映します。どのキーワードで集客したいかを念頭に、ページのタイトルやURL構造も設計しておきましょう。 このように、要件定義では情報設計(コンテンツ設計)の段階からサイト全体の骨組みを固めます。作成したサイトマップは要件定義書に盛り込み、関係者と共有します。必要に応じてページごとのワイヤーフレーム(簡易レイアウト図)を用意すると、各ページの内容イメージを関係者で共有しやすくなります。コンテンツ構成を明確にしておくことで、デザインや実装時に「このページは必要だったか?」と迷走することがなくなり、コンテンツ制作もスムーズに進行します。 ④ デザイン・UI/UXの要望 デザイン面の要件、すなわちサイトの見た目やユーザビリティに関する要望も要件定義で整理します。デザイン要件は機能要件のように数値で表しづらいですが、可能な限り具体的な希望や基準を共有しておくことが重要です。例えば「ブランドカラーは青系を使ってほしい」「〇〇社のサイトのようなスタイリッシュな雰囲気にしたい」「高齢者が使うので文字は大きめ・シンプルなUIにする」といったUI/UX上の要望を関係者からヒアリングし、まとめます。これらは非機能要件の一部として位置付けられ、機能以外でサイトに求める重要な要件です。また、デザイン要件にはデバイスの画面サイズに応じて、Webサイトやアプリケーションの表示を自動的に調整するレスポンシブ対応やアクセシビリティ、ブラウザ互換性といった項目も含まれます。例えば「主要ブラウザ(Chrome/Safari/Edge/Firefox)の最新2バージョンで正常表示させる」「スマートフォンとPC両方で快適に閲覧できるようにする」「色覚障がいの方にも見やすいコントラストにする」等、ユーザーの利用環境を想定したUI/UX条件を定義します。もしクライアント側にガイドライン(CI/VIマニュアル等)がある場合は、それも要件として反映します。さらに、ワイヤーフレームやデザインカンプの作成計画もここに含めることが考えられます。つまり「要件定義の段階で主要ページのワイヤーフレームを作成し承認を得る」といったプロセス自体を要件化しておくと、後のデザイン工程での認識齟齬を減らせます。 ポイントは、抽象的な言葉(「かっこいい感じ」「シンプルに」など)だけでなく具体的な例示によってデザイン要件を共有することです。可能であれば参考サイトのURLや既存のデザイン案、UIパーツのサンプル画像などを用いて、「どのようなUI/UXをイメージしているか」を制作チームとすり合わせておきます。このようにデザイン・UXの期待値を事前に揃えておくことで、完成したサイトのビジュアルが「思っていたのと違う…」という事態を防ぎ、満足度の高い成果物に近づけることができます。 ⑤ 必要な機能要件 次にサイトに実装すべき機能要件を洗い出します。これはユーザーがサイト上で利用できる機能(および管理者が必要とする機能)をすべてリストアップする作業です。例えば、企業サイトであれば「お問い合わせフォーム」「ユーザー会員登録」「資料請求のダウンロード」「EC(商品購入)機能」などが考えられます。これらを漏れなく定義し、どのページにどの機能を組み込むかまで検討します。機能要件を考える際は、ターゲットユーザーの利便性向上につながるかを基準に取捨選択することが大切です。一般的なWebサイトで実装される機能には、以下のようなものがあります。・ナビゲーション機能(グローバルメニュー、パンくずリストによる現在位置表示)・検索機能(サイト内検索バーの設置)・お問い合わせ機能(問い合わせフォームやチャットボット)・コンバージョンエリア(資料請求や問い合わせへの誘導バナー)・SNS連携(SNSシェアボタン、Xタイムライン埋め込み)・会員機能(ログイン・ユーザー登録、マイページ)・コンテンツ管理機能(CMS上での記事投稿や編集画面で見たままの状態が最終的な出力結果となるWYSIWYGエディタによる更新)・分析タグ設置(Google Analytics等のアクセス解析タグ埋め込み)・表示速度最適化(ページ読み込み速度向上のための措置) など これら機能を必須か任意か、また優先度も併せて決めていきます。しばしば機能を詰め込みすぎると開発コストや期間が膨らんでしまいますので、本当に必要な機能かどうか精査し、優先順位を付けることも大切です。「なくても大きな影響はない機能」や「リリース後でも追加可能な機能」は後回しにし、必須機能にリソースを集中する判断も必要でしょう。なお、機能要件はユーザー向け機能(機能要件)だけでなく、性能・拡張性・セキュリティなど非機能要件も含めて検討します。非機能要件とはシステムの品質面の要件で、例えば「同時ユーザー数〇人に耐える性能」「99.9%の高可用性」「WAF導入などのセキュリティ対策」といった事項です。 Webサイトの場合、セキュリティ(不正アクセス防止やSSL対応)、サイトの速度やSEOに寄与する技術要件、デザイン面の要件などが非機能要件に該当します。発注者にとって重要な非機能上の希望(「デザインは最新のトレンドで」「ページ表示は3秒以内で」等)があれば、それも漏れなく要件に含め、開発者に伝えるようにしましょう。 ⑥ スケジュール・予算・運用体制 最後に、プロジェクト全体のスケジュールや予算、そしてサイト公開後の運用体制についての要件を明確にします。まずスケジュールについては、「〇年〇月にサイト公開」など大まかな期限から逆算して、各工程(要件定義→デザイン→実装→テスト→リリース)の期間を見積もり、マイルストーンを設定します。要件定義書には想定スケジュールや重要なマイルストーンを記載し、関係者間で共有します。例えば「○月○日までにデザイン案決定」「○月中に全ページコーディング完了」といった具合です。スケジュールが無理のないものであるか(破綻していないか)も注意が必要です。要件定義が不十分だとスケジュール見積もりも不正確になりがちなので、要件を固めつつ現実的な工数で計画を立てるようにします。次に予算(コスト)の要件です。サイト制作にかけられる予算の上限があれば明示し、それに合わせて実現範囲を調整します。予算を明確にすることで「この機能はコストに見合わないから省く」といった判断がしやすくなり、逆に必要な部分にはしっかりリソースを投下できます。予算の制約次第で採用する技術(例えば既存CMSを使うかフルスクラッチか)も変わりますし、デザインの凝り具合やページ数にも影響します。限られた予算内で最大の効果を出すにはどこに重点を置くか、要件定義段階で検討しましょう。見積り時点で予算オーバーの場合は、要件の優先度を見直してスコープを調整することも必要です。この際、「予算内で対応できる範囲を超える場合は別途費用やスケジュール変更が発生しうる」旨を合意しておくと安心です。 最後に運用体制です。サイト公開後、誰がどのようにサイトを運用・保守するかも決めておきます。例えば「公開後の更新作業は自社で行うのか」「運用担当者は何名か」「お問い合わせ対応フローはどうするか」といった点です。要件定義書には運用・保守に関する項目(更新頻度、バックアップ方法、障害時の連絡体制など)も盛り込みます。たとえば「毎月○日にコンテンツ追加」「バックアップは週1回自動実行」「万一不具合発生時は○時間以内に復旧対応」等のルールを決めておけば、長期的に安定したサイト運営が可能になります。また、制作フェーズ中のコミュニケーション設計もここに関連します。プロジェクト進行中、どのように情報共有・意思決定するか(使用ツール、定例会議の頻度、参加メンバーなど)をルール化すると各所との調整が円滑になります。例えば「進捗共有はSlackで、週次でオンラインMTGを実施」といった取り決めです。こうしたコミュニケーション体制も要件として明文化しておくと良いでしょう。 以上がWebサイト要件定義で特に明確にしておくべき主要6要素です。これらを網羅的に検討し文書化することで、要件定義書の骨子が出来上がります。次項では実際の要件定義書に含めるべき項目について、具体例を交えながら解説します。 Webサイト要件定義書の書き方 要件定義書には上記で述べた内容を含め、Webサイト制作プロジェクトの全体像を余すところなく記載します。一般的に、Webサイト要件定義書に盛り込むべき必須項目は次のようなものです。 背景・目的プロジェクトの背景や狙い、サイト制作の目的(例:○○の課題解決、△△の実現)。現状分析の結果や今回のサイトでカバーする範囲(スコープ)も含めます。必要に応じて用語の定義もここに記載し、途中参加メンバーにも分かりやすくします。プロジェクト概要制作に携わる人員体制(担当者や各メンバーの役割)、各工程の大まかなスケジュール、外部委託時の納品物の種類や納品場所など。さらに社内外のコミュニケーション方法(使用ツール、定例会議の頻度、出席者など)のルールも定めます。サイト構成サイトの全体構成。必要なページ一覧、ディレクトリ・カテゴリ構造、各ページの概要説明など。リニューアルの場合は旧→新へのリダイレクト対応表も作成します。また対象とするデバイス/OS/ブラウザ(例:Windows/Chrome最新版等)もここで規定します。ページ数が多い場合、サイトマップ図として別添することもあります。 概算スケジュールサイト公開までの大まかなスケジュール。各フェーズの期間や主要マイルストーンを示します(例:「○月上旬:要件定義完了」「○月下旬:デザイン完了」等)。さらに、情報設計・デザイン・コンテンツ制作・コーディング・システム開発・テスト・リリースといった具体的な工程項目ごとに想定期間をリスト化します。 システム要件サイトに実装したい機能要件と非機能要件の詳細。ユーザー向け機能の一覧(例:○○機能=ログイン、△△機能=検索 など)や画面設計上の要件を記載します。非機能要件として、可用性・性能・拡張性・運用保守性・移行性・セキュリティなどビジネス上欠かせない品質項目を整理します。 技術要件使用する開発言語やフレームワーク、ミドルウェア(Webサーバやデータベース管理システム等)、通信プロトコル、バージョン管理方法など、開発技術スタックに関する要件です。例えば「WordPress等のCMSを使用するか」「フロントエンドはReactを使うか」などもここに含まれます。技術選定は高度な知識が必要なため、発注者側で不明な場合は制作会社のエンジニアに相談して決める形になります。インフラ要件Webサイトを設置・公開するためのインフラ環境に関する要件です。具体的には使用するサーバーの種類・スペック、クラウドサービス利用の有無、ドメインやSSL証明書の取得方法などを定めます。また、サーバーやドメインを「発注側が用意するのか受注側に任せるのか」も明記しておきます。セキュリティ要件サイトの安全性を確保するための要件です。例えば「WAF導入」「通信のSSL/TLS対応」「管理画面アクセスIP制限」「ユーザーデータ暗号化」「セッションタイムアウト◯分」等、想定されるセキュリティ対策を一覧にします。考え得る対策をすべて盛り込むほどコスト増になりますが、扱うデータの機密度に応じて適切な強度の施策を選択する旨も記載します。品質管理の要件制作物の品質を担保するための検証・チェック体制に関する要件です。テスト項目やテスト範囲、リリース前のレビュー回数などを定めます。加えて、万一仕様変更やスコープ拡大など大幅な計画変更が発生した場合の取り扱い(追加費用や納期調整の条件)についても触れておきます。これにより、後からの仕様追加で双方に認識違いが起きないようにします。 リリース要件サイト公開(リリース)作業に関する取り決めです。リリースの実施日時、担当者(実行担当・確認担当)、作業端末、具体的な手順などをあらかじめ決めておきます。要件定義時点ではリリース日は遠く感じますが、公開直前に慌てないためにもここで大枠を明確にします。運用・保守方法サイト公開後の運用・サポートに関する要件です。連絡手段(例:障害報告はメール/チャット等)、対応時間帯(平日9:00-18:00など)、対応範囲(テキスト修正のみ対応可等)、バックアップ/復元方法などを定義します。契約上リリースまでの対応であっても、保証期間や瑕疵対応について記載しておくと安心です。 以上が典型的な要件定義書の項目一覧です。プロジェクトによって多少増減はありますが、目的・体制・構成・機能・技術・品質・運用といった観点を網羅することが肝心です。これらの項目が漏れなく定義されていれば、関係者間の認識合わせや発注先への説明資料として十分な要件定義書と言えるでしょう。 要件定義書の作成フロー 要件定義書は一朝一夕にポンと書けるものではなく、要件定義のプロセスを経て徐々に完成させていくものです。その基本的な流れを押さえておきましょう。現状分析と課題整理まずは既存サイトやビジネスの現状を分析し、解決すべき課題を洗い出します。社内の関係部署やユーザーから徹底的にヒアリングを行い(ユーザー調査・関係者ヒアリング)、定量的なデータ(アクセス解析結果など)と定性的な意見の両面から問題点をリストアップします。洗い出した課題はカテゴリ分けして整理すると漏れが見えやすくなります(例:「UI上の課題」「SEO上の課題」「コンテンツの課題」などに分類)。この段階で具体的なペルソナを設定し、「ユーザーはどんな不満を持ってサイトに来るか」を考えると、自社サイトの課題が発見しやすくなります。現状課題の整理が済んだら、それらを踏まえて次のステップに進みます。仮説立案・方向性の検討課題を解決するためのサイトの方向性を検討します。前ステップで挙げた課題に対し、それを解決するサイトの目標を定めます(例:課題「問い合わせ不足」に対し、目標「問い合わせ件数を増やす」)。そしてその目標を達成するために必要なサイトの機能やコンテンツ、構成のアイデアを出します。具体例を挙げると、課題が「商談数(問い合わせ数)が不足している」場合、サイトの目的を「リード獲得による商談数増加」と設定します。その上で「スマホ画面下部に常時問い合わせバナーを表示するデザインにする」「資料ダウンロード機能を実装して見込み客情報を収集する」「マーケ担当者がフォーム最適化を簡単に行えるCMSにする」等、課題をクリアするための具体的なサイト方針を決めていきます。必要に応じてカスタマージャーニーを作成し、ユーザーがサイト内で取る行動を可視化しながら施策を検討すると効果的です。このステップでは、課題→解決策の仮説を繰り返し、「サイトで何を実現すれば目標を達成できるか」を明確にしていきます。関係者との合意形成仮決めした要件や方針について、社内外の関係者と擦り合わせて合意を取ります。最終的には経営層やプロジェクトオーナーの承認が必要となるため、関連部署との事前調整は不可欠です。具体的には、営業部門・マーケ部門・システム部門などサイトに関わる各部署に内容を確認・議論してもらい、懸念点があれば調整します。この合意形成プロセスを軽視すると、後になって「現場から反発が出て計画がひっくり返る」リスクがあります。もちろん全ての要望を受け入れることは難しいですが、「ちゃんと声を聞いている」という事実だけでも従業員の納得感は違います。スムーズな制作・公開のために、発注者(Web担当者)は日頃から関係者とのコミュニケーションを密にし、このフェーズではこまめに打ち合わせを重ねて認識のズレを解消しましょう。必要に応じて会議を重ね、全員が「この内容でいく」と合意できれば次に進みます。要件定義書の作成合意形成ができたら、決定した内容をもとに要件定義書をドキュメント化します。要件定義書は以後の制作中に迷いが生じたときの判断基準(拠り所)にもなるため、可能な限り詳細に記載しておくのが望ましいです。例えば「方向性に迷ったら『ターゲットAに刺さるか』で判断する」「A案とB案で悩んだら要件定義書の目的により合致する方を採用する」といった具合に、プロジェクトの羅針盤となります。また、ここまで決めた要件を文章化する際、専門用語や略称が出てくる場合は用語集を付けておくと途中参加メンバーもスムーズに理解できます。この完成した要件定義書は社内の承認を経て正式な成果物となり、以降の基本設計・見積り・開発に進むことになります。 以上が要件定義書完成までの大まかな流れです。要件定義はWeb制作の最初のフェーズでありながら最も難しい部分とも言われます。しかしこのプロセスを丁寧に踏むことで、後のデザイン・実装フェーズが格段に楽になり、プロジェクト全体の成功率が高まります。「急がば回れ」の姿勢で、ヒアリングと合意、文書化をしっかり行うことが肝要です。 要件定義でよくある失敗とその対策 要件定義はプロジェクトの要となる反面、失敗すると大きな影響を及ぼします。ここでは要件定義で陥りがちな失敗例を挙げ、その対策を整理します。 要件が曖昧なまま制作が進行してしまう 失敗シナリオ:要件定義が不十分で、あいまいなまま見切り発車で制作フェーズに突入してしまうケースです。例えば目的や仕様が固まらないままデザインに入ってしまい、「やっぱり最初から作り直し」となるような事態です。開発途中で要求の追加や方針変更が頻発し、当初想定以上に費用や時間がかかったり、最悪プロジェクト自体が破綻したりする可能性があります。実際、要件定義をおろそかにすると開発後の手戻りやトラブルといった無駄な作業・コストが発生しやすい傾向にあります。対策:この失敗を防ぐには、やはり要件定義を明確に行うことが第一です。開発者と依頼者の双方で「何を作るか」「何が必要か」をしっかり擦り合わせ、曖昧な点はプロジェクト開始前に潰しておきます。発注者側も「プロに任せれば大丈夫」と丸投げせず、ヒアリング時には正確な情報提供と細かな確認を行いましょう。例えば要件定義書のドラフトを社内でレビューし、「不明瞭な表現はないか?」「関係者が読んで理解できるか?」をチェックすることが有効です。要件定義書が完成したら発注者と受注者できちんと認識合わせを行い、承認を得てから開発スタートすることで、開発途中のブレを防げます。また、開発途中で新たな要望が出た場合も、すぐに開発に反映するのではなく一度要件定義書に立ち返ってスコープに含めるか判断する習慣をつけると良いでしょう。要件定義書自体も生きたドキュメントとして適宜更新し、決定事項のエビデンスを残しておくことが大切。エビデンスを残すことで、後で「言った/言わない」のトラブルを防ぐ効果があります。 関係者間の認識がズレている 失敗シナリオ: 要件定義の内容について、社内外の関係者同士で認識に食い違いがあるケースです。例えば依頼者(発注側)と思惑と制作会社側の理解がずれていたり、社内の営業部と開発部でサイトに期待することが異なっていたりする場合です。このような認識のズレがあると、途中で「聞いていた話と違う」ということになり仕様変更ややり直しが発生します 。結果として費用や時間が余計にかかり、場合によっては成果物が双方の期待を満たさないまま終わってしまう恐れがあります。対策: 認識ずれの多くはコミュニケーション不足から生じます。対策として、要件定義の段階でステークホルダー全員と十分にコミュニケーションを取ることが必要です。発注側は各部署へのヒアリングを通じて内部で意見をまとめておき、受注側とは提案内容について頻繁に打ち合わせましょう。特に「お任せします」で進めてしまうと危険です。 発注者側もプロジェクトメンバーの一員として、必要な機能要件の洗い出しや競合分析に参加し、要件定義に積極的に関与する姿勢が求められます。また、言葉だけでは誤解が残る場合、プロトタイプや参考資料を用いて認識合わせをするのが有効です。既存の競合サイトを見せながら「このレベルの機能が欲しい」と伝えたり、簡易なワイヤーフレームを制作側が示して「このような画面を想定しています」と確認したりすることで、抽象的なズレを具体的に埋めることができます。 さらに、要件定義書に承認サインをもらう、会議の議事録を共有するといった形で形跡を残し、全員が内容を了承したことを確認することも大事です。後から新メンバーが参加しても要件定義書を読めば理解できるよう、用語説明や背景説明も丁寧に書いておきます。こうした取り組みにより、関係者間のズレを最小限に抑えることができます。 納期や予算に無理がある 失敗シナリオ: プロジェクト開始時に設定したスケジュールや予算が非現実的で、途中で破綻してしまうケースです。例えば「1ヶ月でECサイトを完成させる」「予算○○万円で多言語対応も全て実装する」といった無理な計画を立ててしまい、結局間に合わず大幅遅延したり予算超過になったりする状況です。要件定義を疎かにするとスケジュール見積もりも甘くなりがちで、結果としてプロジェクト遅延や追加コストの発生につながります。実際に「要件定義の検討不足・見積もりの検討不足」は赤字プロジェクトの原因になる恐れがあります。対策: 納期・予算に関する失敗を防ぐには、要件定義段階で現実的な計画を立てることが重要です。機能要件ごとに開発工数を見積もり、それらの合計とバッファを考慮したスケジュールを策定します。この際、「絶対に譲れない期限」なのか「多少伸ばせるのか」を発注側上層部と確認し、必要であれば要件の範囲を調整してでもスケジュールを守る方針か、あるいは機能優先で納期は延ばす選択肢もあるのか、方針を明確にします。予算についても同様で、各要件に対する概算見積もりを出し、コスト超過しそうな部分はスコープを削減する判断が必要です。要件定義時に優先順位を付けるのはこのためでもあり、「MUST(絶対必要)」「WANT(できれば)」「OPTION(余力があれば)」と分類しておくと予算調整しやすくなります。また、リスクヘッジとしてチェックポイント(マイルストーン)で進捗とコストを検証する計画を立てておくのも有効です。たとえば「デザイン完了時に見積もり再確認」「β版完成時に改めて納期調整」といった具合に、中間で軌道修正できるようにします。さらに契約書や要件定義書に「大幅な仕様変更時には別途見積もり」という一文を入れておくことで、後からの追加要求にも対応しやすくなります。 重要なのは、無理な計画を最初に立ててしまわないことと、万一ズレが生じても適切にスコープ管理・変更管理を行うことです。要件定義段階でこれらを織り込んでおけば、納期・予算面の失敗リスクを大きく減らせます。 失敗しないためのチェックリスト 最後に、要件定義を成功させるためのポイントをチェックリスト形式でまとめます。要件定義書を仕上げた段階で以下を確認すると良いでしょう。目的・KPIは明確か?サイトの目的や成功指標が具体的な数字で示されているか。あいまいな表現のままになっていないか。 ターゲット・ペルソナは具体化されているか?想定ユーザー像がはっきり描けているか。ターゲット・ペルソナに沿った要件になっているか。 関係者の合意は得られているか?要件定義書の内容について社内の主要メンバーやクライアントの承認を得たか。部署間で認識違いがないか。 機能一覧に漏れはないか?必要な機能がすべて列挙されているか。逆に不要な機能が入っていないか。優先度の検討はしたか。 非機能要件も考慮したか?セキュリティ、性能、UI/UXなど品質面の要件も忘れず記載したか。 スケジュールと予算は妥当か?工数見積もりにもとづいた現実的なスケジュールになっているか。予算内で対応可能な内容か。リスクへのバッファはあるか。 エビデンスは残しているか?決定事項や前提条件が文書に明記されているか。口頭合意だけになっていないか(要件定義書自体が「言った言わない」の防止策です。 第三者が読んでも理解できるか?専門用語の説明や図表の補足は十分か。プロジェクト途中から参加する人でもこの資料で把握できる内容か。 このチェックリストを満たしていれば、要件定義としてかなり堅実と言えます。要件定義段階でのつまずきを防ぎ、後工程を円滑に進めるためにも、上記ポイントを念入りに確認しましょう。 Web制作会社に依頼する場合の要件定義の進め方 自社内にWeb制作の専門知識がない場合など、制作会社にWebサイト制作を依頼するケースでは、要件定義の進め方が若干異なります。発注者としてどんな準備をし、制作会社とのやり取りで何に注意すべきかを説明します。 発注者が準備すべきこと まず、発注側(依頼主)が制作会社に要件定義を依頼する前に準備しておくべき事項があります。制作会社はプロの視点で要件定義をリードしてくれますが、発注者側でも最低限の情報を整理した提案依頼書(RFP)を用意するのが一般的です。RFPとはRequest for Proposalの略で、制作会社に提案・見積もりをお願いするためのプロジェクト概要資料です 。RFPには次のような内容をまとめます。プロジェクトの概要サイト種別(例:コーポレートサイトリニューアル)、おおよそのページ数、予算と希望スケジュール。例えば「予算○○万円、△月末までに公開希望」など。サイトの現状と課題現行サイトがある場合、そのURLと現状の問題点を共有します(アクセス解析データや現在のページ一覧、システム構成情報なども添付)。実現したい要件の概要ターゲットユーザーやサイトの目的、今回求める機能・コンテンツのざっくりしたリスト。例:「○○の情報提供とお問い合わせ獲得が目的。〇〇ページと△△ページを新設、FAQを充実させたい」等。対応してほしい範囲制作会社にどこまで依頼するかを明記します。要件定義自体の支援をお願いするのか、デザインから実装・運用まで一括か、など。 技術要件の希望もし使いたいCMSや特定のシステム要件があれば記載(例:「WordPress希望」「既存の会員DBと連携希望」など)。その他条件納品物の形式、保守契約の希望、競合となる参考サイトURL、提案にあたって特に注目してほしい点など。 制作会社に要件定義フェーズから依頼する場合、このRFPが要件定義の前提資料となります 。この資料をもとに制作会社は提案を準備し、プロジェクトの大枠を発注者とすり合わせた上で要件定義の詳細詰めに入ります。したがって発注者は、RFP作成のために自社内で目的・課題・要望の整理を事前に行っておかなければなりません。自社内で意見が割れているような状態だと、制作会社から提案をもらっても判断に迷ってしまいます。ですので、上司や関係部署と話し合い、「このプロジェクトのビジョンと目標は何か?」を固めておくことが重要です。また、参考にしている競合サイトやデザインの好みなども社内でピックアップし、共有認識を持っておくとRFPに盛り込みやすくなります。 要件定義を制作会社にリードしてもらうメリットとして、豊富な経験にもとづき発注側では気づきにくい解決策の提案を受けられる点や、漠然とした要望を明確に言語化してもらえる点が挙げられます。しかし丸投げは禁物で、発注者側も自社のニーズを正しく伝えられるよう準備と情報整理をしておきましょう。 制作会社とのヒアリングで注意すべきポイント 制作会社にプロジェクトを発注した後、要件定義フェーズでは発注者と制作会社の打ち合わせ(ヒアリング)が綿密に行われます。このヒアリングで注意すべきポイントを挙げます。曖昧な表現を避ける発注側が要望を伝える際、「いい感じにしてください」「あとはお任せします」はNGです。抽象的すぎる指示は認識違いの元になります。可能な限り具体例やデータを用いて伝えましょう。「〇〇の機能」という場合も、自社内で解釈が一致しているか確認してから伝達し、言葉の定義を共有します。双方向のコミュニケーションヒアリングは制作会社から質問を受ける場ですが、発注者からも積極的に質問・確認を行ってください。にもあるように、プロに任せるとはいえ発注者もプロジェクトの一員です。疑問点があれば遠慮なく尋ね、理解できない専門用語が出たらその場で確認しましょう。コミュニケーションは一任ではなく協働という意識を持つことが大切です。認識合わせの工夫要件定義中の認識齟齬を防ぐため、会議での決定事項は議事録(エビデンス)に残し、双方で確認します。「言った言わない」を避けるために、ヒアリング結果は制作会社側からサマリー資料を送ってもらい、発注側でチェックするなどの手順を踏みましょう。必要に応じて回数を重ねて打ち合わせし、齟齬が残らないよう注意します。 要件の優先度を伝えるすべてを叶えたい気持ちはあるかもしれませんが、予算や納期には限りがあります。自社の要望に優先順位をつけて制作会社に共有しましょう。「これだけは必須」「これはできれば」「これは今回は不要かも」のようにランク付けして伝えると、制作会社も提案に反映しやすくなります。過剰な要求は結果的にプロジェクト失敗につながるので避けるべきです 。 スケジュールの現実性を確認制作会社から提示されたスケジュールがあれば、自社の事情も踏まえて無理がないか確認します。リリース時期にイベントやキャンペーンを絡めるならその締切も共有し、マイルストーンにずれがないか共にチェックします。また、コンテンツ提供など発注者側のタスクについても余裕を持って見積もられているか確認しましょう。追加要望のルール作りヒアリングを進めるうちに新たな要望が出てくることもあります。その場合は都度要件定義書に反映し、仕様追加が発生したら見積もり影響を伝えてもらうよう制作会社と合意しておくと安心です。変更管理のルールをあらかじめ決めておくことで、お互い負担なく開発を進められます。 成果物のイメージをすり合わせる方法 発注者と制作会社の間で完成するWebサイトのイメージを共有することも極めて重要です。出来上がりのイメージが食い違っていると、完成時に「こんなはずじゃなかった」という不満が出かねません。以下のような方法で成果物イメージのすり合わせを行いましょう。参考サイトや競合サイトの共有発注者側で「理想的だ」と感じるデザインや構造のサイトがあれば事前に共有します。「〇〇社のサイトのような雰囲気」「△△のサイトのこの機能部分を参考にしたい」など、実例を見せながら要望を伝えると制作会社も具体的に把握できます。特にUI/UX面は口頭説明だけでは伝わりにくいので、参考になる既存サイトで補足するのが効果的です。ワイヤーフレームやプロトタイプの活用要件定義の段階でも、主要ページについて簡単なワイヤーフレーム(レイアウト図)やプロトタイプを作ってもらうと理解が深まります。制作会社によっては提案時にトップページのワイヤーフレームやラフデザインを提示してくれることもあります。それらに対してフィードバックを行い、「この配置ならOK」「ここはイメージと違うので変更」といったすり合わせを早期に行うことで、デザイン本制作に入った後の修正を減らせます。デザインの方向性シート色やフォント、写真のトーンなどデザインの方向性を示すスタイルガイド/ムードボードを用意してもらい確認するのも有効です。例えば何種類かの配色・テイスト案を見せてもらい、「ではこの方向でお願いします」と決めてしまう方法です。これにより完成形のズレが大きく外れるリスクを下げられます。試作段階での確認要件定義とは少し離れますが、ワイヤーフレーム→デザインカンプ→HTMLコーディングと進む各段階で、発注者が逐一チェックとフィードバックを行うことも大切です。要件定義で共有したイメージから逸れていないかを都度確認し、必要なら軌道修正します。コミュニケーションを密に取っていれば、「想定と違うサイトになってしまった」というリスクは低減できます。 結局のところ、制作会社任せにせず発注者もコミュニケーションに積極的に関わることが、イメージ齟齬を防ぐ最大のポイントです。専門知識が無い部分はプロに委ねつつも、自分たちのビジョンや感じていることは遠慮なく伝える――この共同作業によって、期待通りの成果物が得られるでしょう。 Webサイト要件定義は成功のカギになる! 要件定義は地味で手間のかかる作業に思えるかもしれませんが、この段階に投資した労力は後で何倍にもなって返ってきます。逆に疎かにすると修正コストが「200倍」にもなるという例もあるほどです。それほどまでに要件定義はプロジェクトの命運を握る工程なのです。未経験の方にとって、最初から完璧な要件定義書を作るのは難しいかもしれません。しかし心配はいりません。要件定義は一度に完璧を目指すより、段階的に精度を上げていく作業でもあります。最初は箇条書きのメモ書きでも構いませんので、思いつく限りサイトの目的や必要そうな機能を書き出してみましょう。そこから関係者と議論し、徐々に肉付けしていけば立派な要件定義書に育っていきます。 「千里の道も一歩から」です。小さなステップでも今すぐ始めてみましょう。例えば、現行サイトがあるなら社内ヒアリングを実施して不満点を集めてみる、チームでペルソナを一人作ってみる、参考になる競合サイトを3つ挙げてみる、といったことからスタートできます。そうして集めた材料をもとに少しずつ要件を書き出せば、それが立派な要件定義の第一歩です。 要件定義は大変な作業ですが、本記事で述べたポイントを順番に押さえていけば決して難しくはありません。むしろ、一度コツを掴めばWebディレクションのスキルとして今後大いに役立つでしょう。ぜひ今日からでも着手し、理想のWebサイト実現に向けた一歩を踏み出してみてください。
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  • ホームページ制作の流れは?初心者にもわかりやすく解説

    ホームページを作りたいけれど、「何から始めればいいのだろう?」「専門的な知識がない自分でもできるのか不安…」と感じていませんか。WebやITに詳しくない初心者の方にとって、ホームページ制作の全体像が見えないままでは、一歩を踏み出すのに勇気が要ります。また、いざ作業を始めても流れを理解していないと、途中で手戻りが発生したり、思わぬ時間や費用がかかってしまうこともあります。そこで本記事では、ホームページ制作の流れをステップごとにわかりやすく解説します。初めての方でも安心して取り組めるよう、不安や悩みに寄り添いながら進めていきます。 ホームページ制作の全体像を把握しよう ホームページ制作では最初に全体の流れを俯瞰することで、各段階で何をすべきかが明確になり、効率よく進められます。まずはホームページ制作のプロセスをどのようなステップに分解できるのか見ていきましょう。 制作プロセスを6つのステップに分解 ホームページ制作のプロセスは、以下の6つのステップに分けられます。目的・ターゲット設定サイトを作る目的を明確にし、誰に向けたサイトにするかターゲット(ペルソナ)を定めます。サイト構成・デザインの設計サイトマップやワイヤーフレームを作成し、ページ構成やデザインの方向性を決めます。ドメイン・サーバーの準備サイトのURLとなるドメインを取得し、ホームページを公開するためのサーバー(レンタルサーバーなど)を用意します。コーディング(実装)HTML・CSS・JavaScriptなどを使ってページをコーディングし、必要に応じてCMS(例:WordPress)の導入・カスタマイズで効率化します。テスト・修正公開前に動作確認やデバッグを行い、不具合の修正や表示崩れの対応、セキュリティチェックなどを実施します。公開・運用サイトをインターネット上に公開し、その後の運用・更新や保守管理まで継続して行います。 以上がホームページ制作の流れです。ではステップ1から順に見ていきましょう。 ステップ1|目的・ターゲット設定 最初のステップでは、「なぜそのホームページを作るのか」という目的と、「誰に向けて情報を発信するのか」というターゲットを明確にします。この段階をしっかり固めておくことで、後のデザインやコンテンツ制作の指針がぶれずに済み、効果的なサイト制作につながります。 目的とゴールを明確化する ホームページを制作する前に、まず目的とゴールを明確にしましょう。目的とは「ホームページを通じて何を達成したいか」という根本的な動機です。例えば、「自社の商品やサービスの認知度を高めたい」「問い合わせを増やしたい」などが目的として挙げられます。目的が定まったら、次に具体的なゴール(成果指標)を設定します。ゴールとは目的を達成するための具体的な目標値です。例えば、「月々の問い合わせ件数を〇件に増やす」といったように測定可能な目標を設定してみてください。ゴールを決めておけば、ホームページ公開後に効果を測定し、目的が達成できているか確認できます。 目的とゴールが明確になれば、サイトの構成やデザインもそれに合わせて考えやすくなります。例えば問い合わせ獲得が目的なら、問い合わせフォームへの導線(ボタンやリンク)を目立つ位置に配置するなど、サイト設計に反映させるべきポイントが見えてきます。逆に、これらがあやふやなままだと見た目は良くても肝心の成果に結びつかないサイトになりかねません。 ターゲットの具体化 目的とゴールを決めたら、次にターゲットとなるユーザーをイメージします。誰に見てもらいたいホームページなのかを明確にすることで、デザインやコンテンツの方向性が定まり、メッセージが伝わりやすいサイトを作ることができます。ターゲットを具体化する際は、想定するユーザー像を具体的な人物像に落とし込み、年齢やニーズ、利用シーンを考えてみましょう。ターゲット像を明確にすることで、その人に響くコンテンツやデザインが見えてきて、サイトの訴求力が高まります。目的とターゲットの設定は、ホームページ制作の土台となる重要な作業です。ここまでが固まったら、次のステップであるサイト構成・デザインの設計に進みましょう。 ステップ2|サイト構成・デザインの設計 ステップ1で決めた目的とターゲットを踏まえて、次はホームページの構成とデザインを具体化していきます。ここでは、サイト全体の構造となるサイトマップを設計し、ページごとのレイアウトとなるワイヤーフレームの作成します。さらに、その構成をもとに視覚的なデザインカンプを作成し、ユーザーにとって見やすく操作しやすい体験を提供するUI/UXを固めます。しっかりと設計を行うことで、この後のコーディング工程がスムーズになり、ユーザーにとって使いやすいサイトに仕上がります。 サイトマップとワイヤーフレームの作成 まずサイト全体のサイトマップ(ページ構成図)を作成します。サイトマップとはサイト内の各ページの階層構造を示す図です。トップページから下層ページへの関係を図にすることで、必要なページを洗い出しコンテンツを整理できます。サイトマップを作る際は、ユーザーが情報にたどり着きやすい導線設計を意識しましょう。重要な情報にはできるだけ少ないクリックでアクセスできるようにし、関連する内容同士はカテゴリーでまとめます。 次に各ページのレイアウトを決めるワイヤーフレームを作成します。ワイヤーフレームとは、ページ内の要素配置を示す設計図で、色や画像などの装飾を加える前の骨組みにあたります。ヘッダーやメニューの位置、本文エリアの配置、ボタンや画像の枠などを簡潔に描いたもので、手書きのラフスケッチや専用ツールで制作します。 ワイヤーフレームでは、ページ内の情報の優先順位やUIの使いやすさをこの段階で検証します。どの位置に何を配置すればユーザーにとって見やすく操作しやすいか、ユーザーの導線を具体的に検討しましょう。例えば重要なメッセージやCTAボタンはページ上部に配置する、問い合わせ先情報は全ページのフッターに入れる、といったようにターゲットユーザーの行動を想定しながらレイアウトを決めます。ワイヤーフレームで設計しておけば、後のデザインカンプ作成や実装段階で大幅な手戻りを防ぐことができます。 デザインカンプの作成 サイトマップとワイヤーフレームで構成の骨子が固まったら、次にデザインカンプの作成に進みます。デザインカンプとは、ワイヤーフレームに沿って実際のデザインを当てはめた完成見本のようなものです。色使い、フォント、画像、余白の取り方など、サイトの見た目に関わる要素をすべて盛り込んだページデザイン案を画像データとして作成します。トップページや主要な下層ページについてデザインカンプを用意し、この段階で関係者からフィードバックをもらって修正しておきます。デザインをここでしっかり固めておけば、後々のコーディング工程で大きな修正をする必要がなくなります。 デザインカンプでは、見た目の美しさだけでなくUI/UXに配慮したデザインになっているかを確認しましょう。文字は読みやすいサイズか、ボタンは押しやすい大きさか、配色はターゲット層の好みに合っているか、といった点をチェックします。また、スマホやタブレットなど様々な端末で閲覧されることを想定し、レスポンシブ対応(画面サイズに応じたレイアウト調整)も欠かせません。 ステップ3|ドメイン・サーバーの準備 サイトの構成とデザインの計画が整ったら、ホームページを公開するための環境を準備しましょう。具体的には、サイトのドメイン(インターネット上の住所となるURL)を取得し、サーバー(ホームページのデータを置いて公開するためのコンピューター)の契約・設定を行います。ドメインとサーバーはホームページ公開の土台となるものなので、それぞれ選び方のポイントを押さえておくことが大切です。 ドメイン取得のポイント ドメインとは、ホームページのURL(例:https://〇〇〇.com)のうち固有の名前の部分です。インターネット上でサイトを識別する「住所」にあたります。ドメインを決める際は、サイト名やブランド名に近い短く覚えやすい文字列にしましょう。トップレベルドメイン(.comや.jpなど)はターゲットや事業形態に合わせて選択します。取得・更新時の費用も事前に確認し、他社の商標や有名サイトと紛らわしい名称は避けるべきです。 サーバー選定の基準 ドメインの取得が済んだら、次にホームページ公開に欠かせないサーバーを選定します。サーバーとはホームページのデータをインターネット上で公開するために保管しておくコンピュータで、一般的にはレンタルサーバーなどのホスティングサービスを利用します。レンタルサーバーを選ぶ際は、サイト規模に見合った性能(処理速度や容量)と安定性(稼働率)を持つサービスを選びます。 また、インターネット上でやり取りするデータを暗号化して安全に送受信する仕組みとなる独自SSLの無料提供や自動バックアップ、WordPress簡単インストールなどの機能、トラブル時のサポート対応も重要です。初心者には実績があり信頼できる共用レンタルサーバーがおすすめです。料金プランも含めて総合的に比較し、自分のサイトに適したサーバーを契約しましょう。 ドメインを取得し、サーバーの契約・設定ができたら、公開環境の準備は完了です。いよいよ次のステップでホームページ本体の制作(コーディング)に取り掛かります。 ステップ4|コーディング(実装) 設計と環境準備が整ったら、ホームページのデザインを実際のWebページとして構築していきます。これがコーディング(実装)のステップです。ホームページは通常HTML(ページ構造)・CSS(デザイン)・JavaScript(動き)の3つの言語で構築します。これらを組み合わせ、デザインカンプどおりに各ページを作成していきます。しかし、初心者の方がすべてを一からコーディングするのはハードルが高いかもしれません。そのため、多くのケースではCMS(コンテンツ管理システム)を導入し、必要に応じてカスタマイズする方法が採られます。次に、CMSを使ったサイト構築について解説します。 CMS(WordPressなど)の導入とカスタマイズ コードを一から書く代わりにCMS(Content Management System)を導入する方法もあります。CMSを使えば専門知識がなくてもページの作成・更新が簡単に行えます。中でもWordPress(ワードプレス)は最も普及しており、レンタルサーバーの簡単インストール機能でセットアップできます。 デザインは多数のテーマ(テンプレート)から選んで適用でき、プラグイン(拡張機能)を追加すれば問い合わせフォームやSEO対策など様々な機能をコード不要で実装可能です。CMSを導入するとサイト公開後の更新が格段にしやすくなるため、頻繁に情報を発信する場合は初めからCMSを採用するのがおすすめです。 以上でサイト本体の構築は完了です。次のステップでは、公開前にサイトをチェックするテスト・修正の工程に進みましょう。 ステップ5|テスト・修正 ホームページの実装がひととおり完了したら、公開前にテストを行い、不具合や改善点を洗い出して修正します。この工程では、作成したWebサイトが設計どおりに動作するか、ユーザーにとって使いにくい点はないか、セキュリティ上の問題はないか、といった観点で細かくチェックしましょう。テストを怠ると、公開後にユーザーから指摘を受けたり、不具合によって信用を失ったりする可能性があるため、時間を確保して念入りに行うことが重要です。 デバッグ・ブラウザチェック まず、サイト全体のデバッグとブラウザチェックを実施します。完成した全ページを実際に表示し、リンク切れや表示の崩れがないかを確認しましょう。主要なブラウザ(Google Chrome、Safari、Firefox、Microsoft Edgeなど)やスマートフォンでもレイアウトや機能をチェックし、動作に不具合がないかテストします。また、問い合わせフォームなど送信機能が正しく動作するかも試し、問題があれば修正してください。ページの表示速度もあわせて確認し、画像ファイルを圧縮する・不要なスクリプトを削除するなど必要な最適化を行います。 動作確認・セキュリティ強化 次に、ユーザー目線でサイト全体の動作確認を行います。想定される一連の操作(商品検索~カート投入~購入完了まで、問い合わせフォーム入力~送信まで等)がスムーズにできるか、一通り試してみましょう。途中で使いにくい箇所や分かりにくい箇所があれば事前に改善します。また、セキュリティ対策も忘れずに実施します。CMSの管理画面には推測されにくい強力なパスワードを設定し、ソフトウェアやプラグインは最新バージョンにアップデートしておきます。サイト全体をSSL化(HTTPS対応)して通信を暗号化し、ユーザーに安心感を与えましょう。テスト用の不要なアカウントやプラグインが残っていれば公開前に削除し、万が一に備えてサイトデータのバックアップも取得しておきます。 ここまで確認・修正ができたら、ホームページを公開する準備は万全です。最後のステップでいよいよサイトを公開し、運用に移ります。 ステップ6|公開・運用 いよいよホームページをインターネット上に公開する段階です。公開前に最終チェックを行って万全の状態でリリースし、その後は継続的な運用・更新によってホームページの効果を最大化しましょう。 ホームページ公開時の最終チェックリスト ホームページ公開直前に、以下の最終チェックリストを確認してください。 ・ドメイン・SSL設定独自ドメインが正しくサーバーに紐付いているか確認し、サイト全体がHTTPSで表示されることをチェックする。・ページ表示の最終確認本番環境で全ページを開き、誤字脱字やリンク切れ、ダミーの仮画像・テキストが残っていないか確認する。・SEOの基本設定ページごとのタイトルやメタディスクリプションが適切か、サイトマップXMLの用意とGoogle Search Consoleへの登録など基本的なSEO設定を完了させる。・フォーム送信テストお問い合わせフォームなどが本番環境で正常に動作し、ユーザーにも担当者にもメールが届くことを確認する。・必要な法令表記の確認プライバシーポリシーや特定商取引法に基づく表記など、必要な情報がページに掲載されているかチェックする。 最終チェックが済めば準備完了です。設定したドメインのURLにアクセスし、サイトが問題なく表示できることを確認してホームページを公開しましょう。 運用・更新のポイント ホームページは公開して終わりではなく、その後の運用・更新こそが重要です。作りっぱなしで情報が古いままだったり、放置されて機能しなくなったりすると、せっかくのホームページも効果を発揮できません。公開後も定期的に内容を見直し、改善を重ねていきましょう。定期的なコンテンツ更新サイトの情報を新鮮に保つよう心がけます。ニュースやブログ記事を継続的に追加し、ユーザーに常に新しい情報を提供しましょう。情報が古いままだとユーザーからの評価が下がってしまうリスクがあります。アクセス解析と改善アクセス解析でユーザーの行動を把握し、ページの閲覧状況や離脱率などのデータをサイト改善に活かします。よく読まれているページにはお問い合わせへの導線を追加する、直帰率の高いページの内容を見直す、といった施策で効果向上を図りましょう。セキュリティと保守公開後もCMSやプラグインのアップデートを怠らず、常に最新の状態に保ちます。定期的にバックアップを取得し、不審な動作やエラーがないかサーバーの状況をチェックしましょう。万が一トラブルが起きても迅速に復旧できるよう、管理体制を整えておくことも大切です。 以上のように、ホームページは公開後の運用次第でその価値が大きく変わります。手間はかかりますが、ユーザーに有益な情報を発信し続け、技術面でも健全に保つことで、長期的に見てビジネスや目的達成に貢献するWebサイトへと成長させていきましょう。 ホームページは「制作して終わり」ではない ここまで、ホームページ制作の一連の流れを6つのステップで説明してきました。目的設定から始まり、構成設計、デザイン制作、実装、テスト、公開・運用というプロセスを順に踏むことで、抜け漏れなくスムーズにサイトを作り上げることができます。 初めて取り組む際は覚えることも多く、不安に感じるかもしれませんが、本記事で紹介した手順に沿って進めれば大丈夫です。事前に全体の流れを理解して計画を立てておけば、「次に何をすればいいか」が明確になるため安心して作業を進められるでしょう。 ホームページは制作して終わりではなく、その後の運用や改善によって価値が高まっていくものです。今回ご紹介したプロセスやポイントを参考に、ぜひ自社や自身のホームページ制作に役立ててみてください。初心者の方でも流れを押さえて一歩ずつ取り組めば、納得のいくホームページを作り上げることができるはずです。
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  • 初心者でも簡単!ワイヤーフレームの作り方を徹底解説

    「ワイヤーフレームって何?」「プロジェクトで急にワイヤーフレームを作るように言われたけど、どうすればいいの?」「デザイナーではないけど、Web制作を任されてしまった…」。Web制作やアプリ開発の現場では、こうした悩みを抱える方は少なくありません。実は、ワイヤーフレームは特別な技術がなくても、基本的な考え方とステップを押さえれば誰でも作成できるものです。この記事ではワイヤーフレームの基本概念から実践的な作り方、おすすめツールまで、初心者の方でも自信を持って取り組めるよう徹底解説します。デザイン経験がなくても、この記事を読めば明日から活用できるスキルが身につくはずです。ワイヤーフレームの基礎を学びたい方や自分でワイヤーフレームを作りたい方はぜひお読みください。 ワイヤーフレームとは?役割と目的を理解しよう Webサイトやアプリの制作プロジェクトを進める上で、ワイヤーフレームは非常に重要な役割を果たします。まずは、ワイヤーフレームの基本的な概念と、なぜそれが必要なのかを理解しましょう。 ワイヤーフレームとは?簡単に言うと「設計図」 簡単に言うと、WebサイトやアプリのUIデザインにおける「骨組み」や「設計図」のようなものです。ページやスクリーンの基本的な構造、レイアウト、情報の配置などを示す簡略化された図であり、色や画像、フォントなどの装飾的な要素はほとんど含まれません。多くの場合、グレースケールや白黒で作成され、ボックスや線などのテキストを使って画面の構成要素を表現します。例えば、ヘッダー、フッター、ナビゲーションメニュー、コンテンツエリア、ボタンなどの配置や大きさを示すことで、画面全体のバランスや情報の階層を視覚化します。 ワイヤーフレームはWeb制作の初期段階で作成され、デザイナー、開発者、クライアント、その他のステークホルダーの間で共通理解を形成するためのコミュニケーションツールとして機能します。 モックアップ・プロトタイプとの違い Web制作のプロセスでは、ワイヤーフレーム以外にも「モックアップ」や「プロトタイプ」という言葉をよく耳にします。これらは似ていますが、目的や詳細度に違いがあります。ワイヤーフレーム・構造とレイアウトの基本設計図・装飾的要素は最小限(主に白黒やグレースケール)・機能やコンテンツの配置を示す・プロジェクトの初期段階で作成 モックアップ・ワイヤーフレームより視覚的に詳細・実際の色、フォント、画像などを含む・最終的なデザインに近い見た目・ビジュアルデザインの確認やプレゼンテーション用 プロトタイプ・インタラクティブな要素を含む・ユーザーが実際に操作できる・画面遷移やアニメーションなどの動的要素を表現・ユーザビリティテストや機能検証に使用 つまり、制作プロセスにおいては「ワイヤーフレーム→モックアップ→プロトタイプ」という流れで詳細度と機能性が高まっていくことが多いです。ただし、プロジェクトの規模や特性によっては、これらのステップを組み合わせたり省略したりすることもあります。 なぜワイヤーフレームが必要なのか?【UI/UXの観点から】 ワイヤーフレームはただの「下書き」ではなく、UI/UXデザインにおいて重要な役割を果たしています。その必要性を理解するためのポイントをいくつか挙げてみましょう。早期の問題発見と修正デザインや開発の前段階でレイアウトや情報構造の問題を発見し、修正することができます。後工程での大幅な変更を防ぐことで、時間とコストを削減できます。ユーザー体験(UX)の最適化ユーザーがどのように情報を見つけ、タスクを完了するかを可視化することで、使いやすさを向上させることができます。ユーザーフローを検討し、導線を最適化することで、使い勝手の良いUIを設計できます。チーム内のコミュニケーション促進デザイナー、開発者、クライアントなど、異なる背景を持つステークホルダー間での共通理解を形成します。視覚的な資料があることで、認識の齟齬を減らすことができます。リソースの効率的な活用デザインの詳細を詰める前に基本構造を固めることで、後工程でのやり直しを減らし、プロジェクト全体の効率を高めることができます。クライアントとの合意形成クライアントに早い段階で方向性を示し、フィードバックを得ることができます。最終デザインを提示する前に期待値を合わせることで、後の大幅な変更リクエストを減らせます。ワイヤーフレームはUI/UXの品質向上だけでなく、プロジェクトマネジメントの観点からも重要なツールなのです。 ワイヤーフレーム作成前に考えるべき3つのこと ワイヤーフレームを作成する前に、まずは基本的な準備が必要です。適切なワイヤーフレームを作るためには、以下の3つの要素をしっかりと考えておきましょう。これらを明確にすることで、より効果的で目的に沿ったワイヤーフレームを作成することができます。 サイト・アプリの目的とゴールを明確にする ワイヤーフレーム作成の第一歩は、制作するWebサイトやアプリケーションの目的とゴールを明確にすることです。これがすべての意思決定の基盤となります。ビジネス目標の特定・売上の増加?ブランド認知度の向上?顧客サポートの効率化?・具体的なKPI(主要業績評価指標)は何か? ユーザー目標の理解・ユーザーはサイトやアプリで何を達成したいのか?・どのような問題を解決するのか? 成功の定義・プロジェクトが成功したと言えるのはどのような状態か?・どのように効果を測定するのか? 例えば、ECサイトであれば「商品の購入数を増やす」「カート放棄率を下げる」などの明確な目標があるでしょう。コーポレートサイトであれば「問い合わせ数の増加」「会社情報の効果的な発信」が目標かもしれません。 これらの目的とゴールを文書化し、チームやクライアントと共有することで、ワイヤーフレーム作成時の意思決定がぶれにくくなります。 ターゲットユーザーを想定する(ペルソナ設計) 次に重要なのは、誰のためにデザインするのかを明確にすることです。ターゲットユーザーの特性や行動パターンを理解することで、より適切なレイアウトや機能を設計することができます。ペルソナの作成・年齢、性別、職業、技術レベル、ライフスタイルなどの基本情報・目標、課題、ニーズ、行動パターン・デバイスの使用状況(スマートフォン、タブレット、PC) ユーザーシナリオの検討・ユーザーがサイトやアプリを使用する状況やコンテキスト・達成したいタスクの流れ・潜在的な障壁や問題点 例えば、「忙しいビジネスパーソン向けのニュースアプリ」と「高齢者向けの健康管理アプリ」では、UIの複雑さ、情報量、ナビゲーション方法などが大きく異なるはずです。 ペルソナを具体的に設定することで、「この人はこの情報をどのように探すだろうか?」「このボタンは分かりやすいだろうか?」といった具体的な問いに答えながらワイヤーフレームを作成できます。 コンテンツの優先順位を決める(情報設計・サイトマップとの関係) 最後に、どのような情報をどの優先順位で表示するかを決定する必要があります。これは情報設計と呼ばれる分野で、ユーザーが効率的に情報を見つけられるようにするための重要なステップです。コンテンツの整理と分類・必要なコンテンツの洗い出し・カテゴリーやグループへの分類・ページ階層の設計(サイトマップの作成) 優先順位の決定・最も重要な情報は何か?・ユーザーが最初に見るべき情報は?・セカンダリーな情報やサポート情報は? コンテンツの関連性・情報同士のつながりや関係性・クロスリンクの可能性・情報の流れや導線 この段階ではサイトマップを作成し、全体の構造を把握することが役立ちます。サイトマップとは、Webサイトのページ構成や階層を示す図であり、ワイヤーフレーム作成の前提となるものです。 コンテンツの優先順位を明確にすることで、ワイヤーフレームでの要素の配置やサイズ、強調方法などを適切に決定することができます。例えば、優先度の高い情報はページ上部や目立つ位置に、詳細情報や補足情報は下部やタブ内に配置するなどの判断ができるようになります。 これら3つの要素(目的・ゴール、ターゲットユーザー、コンテンツの優先順位)を十分に検討した上でワイヤーフレーム作成に取り掛かることで、より効果的で目的に沿ったデザインが可能になります。 ワイヤーフレームの作り方を6ステップで解説 ワイヤーフレームの基本的な概念と事前準備について理解したところで、実際の作成方法に移りましょう。ここでは、効果的なワイヤーフレームを作るための6つのステップを順に解説します。初心者の方でも無理なく進められるよう、各ステップをわかりやすく説明していきます。 ① 必要な情報を洗い出す(要件定義) ワイヤーフレーム作成の最初のステップは、必要な情報と機能を洗い出すことです。これは要件定義とも呼ばれ、何をデザインするのかを明確にする重要なプロセスです。 必須の情報要素のリストアップ・ヘッダー/フッターに含める情報・メインコンテンツエリアの内容・サイドバーやナビゲーションの要素・CTAボタンや問い合わせフォームなど機能要件の整理・検索機能・フィルタリング/ソート機能・ログイン/会員登録・カート/決済機能・コメント/レビュー機能など コンテンツタイプの特定・テキスト(見出し、段落、リスト)・画像/動画・フォーム要素・インタラクティブな要素 この段階ではクライアントや関係者との綿密なコミュニケーションが欠かせません。「このページには何が必要か?」「ユーザーはここで何ができる必要があるか?」といった質問を通じて、必要な要素を明確にしていきましょう。 要件定義が不十分だと、後の工程で「この機能も必要だった」「この情報も入れるべきだった」というような追加要求が発生し、大幅な修正が必要になる可能性があります。時間をかけて丁寧に行うことが重要です。 ② ページ構成(サイトマップ)を作成する 次に、サイト全体のページ構成を把握するためのサイトマップを作成します。サイトマップはワイヤーフレームの前提となる重要な設計図です。 主要ページの特定・ホームページ・商品/サービス紹介ページ・会社情報/アバウトページ・お問い合わせページなど 階層構造の設計・メインページとサブページの関係・カテゴリーの分類と階層・ナビゲーションの構造 ページ間の関連性・リンク構造・導線設計・ユーザーフローの検討 ツールとしては、シンプルな図を作成できるDraw.io、Cacoo、Milanoteなどが活用できます。あるいはExcelやスプレッドシートを使って階層構造を表現することも可能です。 サイトマップが完成したら、クライアントやチームメンバーとレビューし、ページ構成に漏れがないか、ユーザーの行動パターンに合致しているかを確認しましょう。 ③ コンテンツの配置を考える(レイアウト設計) サイトマップができたら、各ページのレイアウト設計に移ります。この段階では、前のステップで洗い出した情報や機能をどのように配置するかを考えます。情報の階層化・最も重要な情報を目立つ位置に・関連情報をグループ化・視線の流れを考慮したレイアウト 一般的なレイアウトパターン・Z型(雑誌・ポスターなど横組み文字のもので使われることが多い)・N型(雑誌・ポスターなど縦組み文字のもので使われることが多い)・F型(Webサイトやブログ、SNSなどでのWeb媒体で使われることが多い) レスポンシブデザインの考慮・デスクトップ、タブレット、モバイルでの表示方法・要素の優先順位の変化・タッチ操作とマウス操作の違い この段階では、一般的なWebデザインの原則(近接、整列、繰り返し、コントラストなど)を参考にしつつ、ユーザビリティを重視したレイアウトを検討します。 重要なのは、この段階ではまだ詳細なデザインを考えるのではなく、「どの要素をどこに配置するか」という大枠を決めることです。色やフォント、細かい装飾などはこの段階では考慮しません。 ④ 手書き・ホワイトボードでラフに描いてみる デジタルツールを使う前に、まずは手書きやホワイトボードでラフスケッチを作成することをおすすめします。これには以下のようなメリットがあります。 アイデアの素早い可視化・デジタルツールより早く複数のアイデアを試せる・完成度を気にせず自由に発想できる・チーム内でのブレインストーミングに最適また、ラフスケッチを作成する際は、以下要素の表現やツールの活用を心がけるといいでしょう。 基本的な要素・四角形や線でコンテンツエリアを表現・テキストはシンプルな線で代用・画像は「×」印や対角線で表現 活用ツール・方眼紙/ノート・ホワイトボード・付箋紙(移動や並べ替えが容易) この段階では完璧を求めず、複数のバリエーションを素早く描いてみることが重要です。「このレイアウトはどうか」「別の配置方法はないか」といったアイデアを視覚化し、比較検討できます。 また、手書きのスケッチはチームでのディスカッションにも適しています。メンバー全員がアイデアを出し合い、その場で修正や追加ができるため、協働作業が促進されます。 ⑤ ツールでデジタル化する ラフスケッチで基本的なレイアウトが決まったら、デジタルツールを使ってより整ったワイヤーフレームを作成します。この段階で精度と詳細度を高めていきます。 ワイヤーフレーム専用ツール・Figma、Adobe XD:デザイン寄りのツール・Balsamiq:シンプルなワイヤーフレーム作成に特化・Cacoo:チーム協働に強い・Sketch:Mac向けの人気ツール デジタル化のポイント・グリッドやガイドラインを活用して整列・実際の画面サイズを考慮・コンポーネントやシンボルを活用して効率化・注釈や説明を適宜追加 レベルの選択・Low-fidelity(低忠実度):シンプルな線と形のみ・Mid-fidelity(中忠実度):より詳細なレイアウトと一部のUI要素・High-fidelity(高忠実度):実際のUIに近い詳細なワイヤーフレーム 初心者の場合は、まずLow-fidelityからスタートし、フィードバックを得ながら徐々に詳細度を上げていくのがおすすめです。ツールの選択については、後ほど詳しく紹介するセクションを参考にしてください。 ⑥ チームでレビュー・改善する 最後に重要なのが、作成したワイヤーフレームをチームやクライアントと共有し、フィードバックを得て改善することです。この段階がワイヤーフレーム作成プロセスの真価を発揮するポイントとなります。 レビューの方法・ミーティングでの直接プレゼンテーション・オンラインツールを使った共有とコメント・ユーザーテストによる検証 確認ポイント・目的とゴールに合致しているか・ユーザーフローが適切か・情報の優先順位が正しく表現されているか・必要な機能がすべて含まれているか・レスポンシブデザインの考慮は十分か 改善サイクル・フィードバックの整理と優先順位付け・修正と更新・再レビュー この改善サイクルを繰り返すことで、プロジェクトの目的に最適なワイヤーフレームに仕上げていきます。レビューの段階でも完璧を求めすぎず、「検証と改善」を前提に柔軟に対応することが重要です。 以上の6ステップを通じて、効果的なワイヤーフレームを作成することができます。次のセクションでは、初心者におすすめのワイヤーフレーム作成ツールを紹介します。 初心者におすすめのワイヤーフレーム作成ツール5選 ワイヤーフレーム作成に役立つツールは多数ありますが、特に初心者にとって使いやすく、効果的なツールを5つ紹介します。それぞれの特徴や利点を理解して、自分のプロジェクトや好みに合ったものを選びましょう。 Figma 近年急速に人気を集めている、ブラウザベースのデザインツールです。特にチームでの協働作業に優れていて、初心者からプロまで幅広く使われています。 主な特徴・ブラウザで動作するため、OSを問わず利用可能・リアルタイムコラボレーション機能(複数人で同時編集)・豊富なコンポーネントライブラリとプラグイン・プロトタイピング機能も内蔵・基本的な機能は無料で利用可能 初心者向けポイント・直感的なインターフェースでUIデザインの経験がなくても使いやすい・豊富なテンプレートやUI要素が利用できる・オンラインで多数のチュートリアルが入手可能・共有やフィードバックが容易 Figmaはワイヤーフレームだけでなく、その後のモックアップやプロトタイプ作成まで継続して使用できるため、Web制作プロセス全体を通して活用できるツールです。 Adobe XD Adobe Creative Cloudの一部で、UIデザインとプロトタイピングに特化したツールです。Adobeの他製品と連携できる点が大きな特徴です。主な特徴・デスクトップアプリケーション(Windows/Mac対応)・Adobe PhotoshopやIllustratorとの優れた連携・リピートグリッド機能で効率的なデザイン・豊富なプラグインとUI要素・基本機能は無料で利用可能 初心者向けポイント・シンプルなインターフェース・直感的な操作性・自動アニメーション機能でアニメーションプロトタイプを簡単に作成できる・クラウド共有で簡単にフィードバックを収集 他のAdobeツールを使い慣れている方や、今後より高度なデザインに進みたい方におすすめです。 Balsamiq ワイヤーフレーム作成に特化したツールで、手書きスケッチに近い見た目のワイヤーフレームを簡単に作成できます。 主な特徴・シンプルで直感的なインターフェース・スケッチ風の見た目で「完成品ではない」ことを明確に表現・豊富な標準UIコンポーネント・デスクトップ版とクラウド版がある 初心者向けポイント・学習曲線が緩やか(短時間で使いこなせる)・機能が限定的で迷わない・ドラッグ&ドロップでの簡単操作・デザインよりも構造とレイアウトに集中できる Balsamiqは特にUI/UXデザインの初心者や、デザインよりも機能性やレイアウトの検討に集中したい方に適しています。 Cacoo Cacooは日本製のオンライン図作成ツールで、ワイヤーフレーム以外にもフローチャートやマインドマップなど様々な図を作成できます。 主な特徴・PCのブラウザベースで使用可能・日本語インターフェースで操作が簡単・リアルタイムコラボレーション機能・バージョン管理と履歴機能・多様な図作成に対応 初心者向けポイント・日本語サポートが充実・ドラッグ&ドロップの直感的な操作・豊富なテンプレートとスターターキット・チーム内での共有と協働が容易 特に日本語環境でのチーム協働が必要な場合や、ワイヤーフレーム以外の図も作成したい場合におすすめです。 紙とペンによるアナログ手法 最後に紹介するのは、最も手軽でアクセスしやすい「ペンと紙」によるアナログ手法です。デジタルツールに慣れる前の第一歩として、あるいはアイデアの初期段階での素早いスケッチに非常に有効です。 主な特徴・道具が不要でいつでもどこでも始められる・操作方法を学ぶ必要がない・アイデアを瞬時に視覚化できる・チームでのブレインストーミングに適している 初心者向けポイント・失敗を恐れずに試行錯誤できる・テクニカルなスキルは不要・デザインの詳細より構造に集中できる・ペーパープロトタイピングへの発展も可能 スマートフォン用のスケッチテンプレートやワイヤーフレーム用の方眼紙なども販売されており、より効率的にスケッチを行うことができます。 これらのツールはそれぞれ特徴が異なるため、プロジェクトの性質や個人の好みに合わせて選ぶとよいでしょう。また、多くのツールが無料プランや試用期間を提供しているので、まずは試してみて使い心地を確かめることをおすすめします。 ワイヤーフレーム作成のコツと注意点 効果的なワイヤーフレームを作成するには、いくつかのコツと注意点を押さえておくことが重要です。ここでは、実務経験から得られた実践的なアドバイスをご紹介します。これらのポイントを意識することで、初心者でもより効果的なワイヤーフレームを作成することができるでしょう。 「きれいさ」より「伝わりやすさ」を意識する ワイヤーフレーム作成で最も重要なのは、美しさや完璧さではなく、アイデアや構造が明確に伝わることです。 シンプルさを保つ・不必要な装飾や詳細は省く・主要な要素と構造に焦点を当てる・グレースケールや限られた色で表現する 視覚的階層を明確に・重要な要素は大きく、目立つ位置に・関連する情報はグループ化・適切な余白を取って視認性を高める 一貫性を保つ・同じ種類の要素には同じ表現を使う・画面間で共通の要素は同じ位置に配置・命名規則やラベリングを統一する 例えば、ボタンはすべて同じ表現方法で描き、見出しは常に同じ大きさで表現するなど、一貫性のある表現を心がけましょう。美しいグラデーションや写真のプレースホルダーよりも、「これはボタンです」「ここには画像が入ります」と明確に伝わることが重要です。 機能・導線の確認をしっかりと ワイヤーフレームの主要な目的の一つは、ユーザーの行動パターンや操作の流れ(ユーザーフロー)を確認することです。機能面や導線設計を重視しましょう。 ユーザーフローの確認・主要なタスクの完了までの流れを視覚化・クリック/タップすべき要素を明確に・画面遷移を矢印や番号で示す ナビゲーション構造の確認・メニュー項目の配置と階層・現在地がわかる仕組み・戻る方法やショートカットの検討 インタラクションの表現・ボタンやリンクの状態(通常/ホバー/クリック後)・フォーム入力や送信の流れ・エラー時の表示やフィードバック 特に複雑なWebアプリケーションの場合は、単一の画面だけでなく、一連の操作フローを示す複数の画面を作成し、ユーザーの行動パターンを確認することが重要です。例えば、「ログイン→商品検索→カートに追加→注文確定」といった一連の流れを示すことで、UXの問題点を早期に発見できます。 また、A/Bテストを視野に入れている場合は、複数のバリエーションを用意しておくと良いでしょう。例えば、CTAボタンの位置や大きさ、ナビゲーションの形式などについて、異なるアプローチを試すことができます。 クライアントやチームとのコミュニケーションを忘れずに ワイヤーフレームはコミュニケーションツールとしての側面が強いため、関係者との効果的な共有と意見交換が欠かせません。 説明と注釈の追加・要素の目的や機能の説明・特定の選択をした理由・実装時の留意点 プレゼンテーションの準備・ワイヤーフレームの目的と範囲の説明・各要素の意図と機能の解説・質問への回答準備 フィードバックの収集方法・具体的な質問で意見を引き出す・建設的な議論のための環境づくり・フィードバックの整理と優先順位付け クライアントやチームメンバーがワイヤーフレームの目的を理解していない場合、「これが最終デザインですか?」「なぜカラフルじゃないの?」といった質問が出ることがあります。事前に「これは構造と機能を確認するための下書きであり、最終的な見た目ではない」ことを説明しておくことが重要です。 また、フィードバックを求める際は、漠然と「どう思いますか?」と尋ねるよりも、「このナビゲーション構造は理解しやすいですか?」「このボタンの配置は適切だと思いますか?」など、具体的な質問を用意すると、より有用な意見を得られます。 ワイヤーフレーム作成は反復的なプロセスであり、フィードバックを受けて改善していくことが前提です。最初から完璧を目指すのではなく、「検証と改善」のサイクルを重視することで、より効果的なデザインに近づくことができます。 初心者でもワイヤーフレームは作れる! ワイヤーフレームはあくまでも設計の一部であり、最終目標はユーザーに価値を提供するWebサイトやアプリケーションの完成です。次のステップに進む際も、ユーザーのニーズと体験を中心に考えるというマインドセットを忘れないようにしましょう。 最後に、ワイヤーフレーム作成は理論を学ぶだけでなく、実際に手を動かすことで上達するスキルです。この記事で得た知識を活かして、まずは小さなプロジェクトから始めてみてください。失敗を恐れず、改善を繰り返しながら経験を積むことが、スキル向上の近道です。 デザイナーでなくても、Web制作の専門家でなくても、基本的な考え方とプロセスを理解すれば、誰でも効果的なワイヤーフレームを作成することができます。あなたのWeb制作プロジェクトが成功することを願っています!
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  • ホームページリニューアルの完全ガイド。費用・手順・成功のポイントまで解説

    「ホームページが古くなってきたけど、リニューアルってどう進めればいいの?」「費用はどれくらいかかるの?」「失敗したくないけど、何に気をつければいい?」ーー中小企業の経営者や担当者のみなさんは、こうした悩みをお持ちではないでしょうか。スマートフォンの普及やGoogleの検索アルゴリズム変更など、Web環境は日々変化しています。数年前に作ったホームページが今の基準では「時代遅れ」になっていることも少なくありません。この記事では、ホームページリニューアルの目的から具体的な手順、費用相場、そして成功のためのポイントまで、網羅的に解説します。これから会社のホームページ刷新を検討している方は、ぜひ参考にしてください。 ホームページをリニューアルするタイミングは? ホームページは企業の「顔」とも言える存在です。では、どのようなタイミングでリニューアルを検討すべきなのでしょうか。具体的な判断基準を見ていきましょう。 デザインが古い 「2000年代に作ったようなデザイン」「画像が少なく文字ばかり」といった特徴があるサイトは、見た目の古さから企業イメージを下げている可能性があります。最近のWebデザインは余白を多く取り、シンプルでありながら洗練された印象を与えるものが主流です。顧客に「時代遅れの会社」と思われないためにも、デザインの刷新は重要なポイントとなります。 表示速度が遅い ページの読み込み速度は、ユーザー体験だけでなくSEO(検索エンジン最適化)にも大きく影響します。Googleは2018年以降、モバイルでの表示速度をランキング要因として明確に位置づけています。調査によると、読み込みに3秒以上かかるとユーザーの40%が離脱するとも言われています。(※1)サイトの表示が遅い場合は、コードの最適化やサーバー環境の見直しを含めたリニューアルが必要かもしれません。 スマホ非対応(レスポンシブでない) 総務省の情報通信白書(令和6年版)によると、端末別のインターネット利用率(個人)は、「スマートフォン」(72.9%)が「パソコン」(47.4%)とも言われています。スマートフォンに最適化されていないサイトは、多くの潜在顧客を失っている可能性が高いと言えるでしょう。また、Googleはモバイルフレンドリーなサイトを検索結果で優遇する「モバイルファーストインデックス」を採用しています。スマホでの閲覧時に文字が小さすぎる、横にスクロールしないと全体が見えない、タップしにくいといった問題があるサイトは、早急にリニューアルを検討すべきです。 更新しにくい・CMS未導入 社内で簡単に情報を更新できないサイトは、情報の鮮度低下につながります。特に制作会社に依頼するたびに費用がかかるケースでは、更新頻度が落ちてしまいがちです。WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)を導入することで、専門知識がなくても社内スタッフが記事投稿やお知らせ更新などを行えるようになります。これにより情報の鮮度を保ちつつ、運用コストも削減できるでしょう。 問い合わせが来ない・アクセスが伸びない 最終的に重要なのは、ホームページがビジネスにどれだけ貢献しているか。アクセス数が少ない、問い合わせが来ない、直帰率が高いといった状況が続いている場合、サイト全体の見直しが必要なサインと言えます。Googleアナリティクスなどの解析ツールを使って現状を把握し、改善点を洗い出すことが重要です。 ホームページの寿命は?リニューアルの目安は3〜4年 一般的に、ホームページの「寿命」は約3〜4年と言われています。これはWebデザインのトレンドや技術の進化、SEOの基準変更などが影響しています。もちろん業種や会社の状況によって異なりますが、3年以上経過したサイトは、一度専門家に評価してもらうことをおすすめします。特に以下のような場合は、経過年数に関わらずリニューアルを検討すべきです。・会社のブランディングや事業内容が大きく変わった・競合他社が次々とモダンなサイトにリニューアルしている・スマートフォン対応など、技術的に大きな変化が必要 リニューアルは単なる「見た目の刷新」ではなく、ビジネス戦略の一環として捉えることが大切です。次章では、リニューアルによって得られる具体的な効果について見ていきましょう。 ホームページリニューアルの目的と得られる効果 ホームページリニューアルを行う目的は企業によって様々ですが、主な効果としては以下のようなものが挙げられます。自社にとって何を優先すべきかを明確にすることで、効果的なリニューアルが可能になります。 集客・売上アップ リニューアルの最大の目的の一つが、新規顧客の獲得や売上向上です。最新のSEO対策を取り入れることで検索順位が上昇し、サイトへの流入が増加する可能性があります。また、ユーザーが求める情報を適切に提供し、問い合わせや購入へのハードルを下げることで、コンバージョン率(訪問者が目的のアクションを起こす割合)の改善が期待できます。実際に、適切なCTAボタン(Call To Action:行動喚起ボタン)の配置や問い合わせフォームの最適化によって、コンバージョン率が1.5〜2倍になったケースも少なくありません。リニューアルによって「見込み客を増やす」「問い合わせを増やす」といった具体的な数値目標を設定することが重要です。 ユーザビリティ・UI/UXの改善 ユーザーにとって使いやすいサイト設計は、単なる「親切さ」ではなく、ビジネス成果に直結します。情報が探しやすく、ストレスなく閲覧できるサイトは滞在時間が長く、コンバージョン率も高くなる傾向があります。ユーザビリティはデザインやボタンの配置など、視覚的な使いやすさのことです。一方、UX(ユーザーエクスペリエンス)はサイト全体の利用体験を表します。最新のトレンドを取り入れつつ、ターゲットユーザーにとって最適な体験を設計することが、リニューアルでは重要です。 例えば、情報の階層構造を整理してナビゲーションを分かりやすくしたり、よくある質問をわかりやすい場所に配置したりすることで、ユーザーの疑問解消がスムーズになります。 スマホ最適化・モバイルファースト対応 前述したように、現在のインターネットトラフィックの大部分はスマートフォンからのアクセスです。「レスポンシブWebデザイン」と呼ばれる、画面サイズに応じて最適な表示に自動調整される設計は、もはや標準となっています。さらに一歩進んで、「モバイルファースト」の考え方が主流になっています。これは「まずスマートフォン向けのデザインを優先的に考え、そこからデスクトップ版に展開する」というアプローチです。ボタンのサイズ、文字の大きさ、タップしやすい余白の確保など、モバイルならではの使いやすさを重視した設計が求められています。 検索エンジン対策(SEO)の強化 検索エンジンのアルゴリズムは常に進化しており、数年前の対策は現在では効果が薄れていることもあります。リニューアルは最新のSEO対策を取り入れる絶好の機会。具体的には以下のような対策が効果的です。・コアウェブバイタル(表示速度、インタラクティブ性など)の改善・構造化データの実装(検索結果での表示を強化)・内部リンク構造の最適化・コンテンツの質と量の向上・モバイルフレンドリー対応 これらの対策により、検索エンジンからの自然流入(オーガニック流入)を増やし、広告費に頼らない継続的な集客が可能になります。 自社ブランディングの向上 ホームページは、多くの場合「会社との最初の接点」となります。デザイン性が高く、内容が充実したサイトは、企業のブランド価値を高めることにつながります。特に採用活動においては、応募者の多くが企業選びの判断材料としてホームページを参考にします。統一感のあるデザイン、会社の理念や強みが伝わるコンテンツ、社員の声や実績の紹介など、自社の魅力を効果的に伝えるサイトづくりがブランディング強化につながります。写真やイラスト、動画などの視覚的要素を効果的に使うことで、テキストだけでは伝わりにくい「企業の雰囲気」も伝えることができるでしょう。 以上のような目的や効果を念頭に置きながら、自社にとって優先すべき項目を明確にすることが、効果的なリニューアルの第一歩となります。次章では、具体的な進め方について解説します。 ホームページリニューアルの進め方|7つのステップ ホームページリニューアルは、単にデザインを変えるだけでなく、戦略的に進めることが重要です。以下の7つのステップに沿って進めることで、効果的なリニューアルが可能になります。 ①現状分析・課題の洗い出し まずは、現在のホームページの問題点や改善点を明確にしましょう。Googleアナリティクスなどの解析ツールを使って、以下のようなデータを確認します。・訪問者数や流入経路・直帰率(サイトに訪れたユーザーがすぐに離脱する割合)・滞在時間・コンバージョン率(問い合わせや購入など、目的のアクションを起こした割合)・デバイス別の訪問割合(PC/スマートフォン/タブレット) また、競合他社のサイトも分析し、業界標準や差別化ポイントを把握することも重要です。ユーザーへのアンケートや社内からの意見収集も、貴重な情報源となります。「更新が難しい」「スマホで見にくい」「問い合わせが少ない」など、具体的な課題を書き出し、優先度をつけていきましょう。 ②目的・ターゲットの明確化 リニューアルの具体的な目標を設定します。「売上を20%増加させる」「問い合わせ数を月30件に増やす」「採用応募者を増やす」など、可能な限り数値化した目標が望ましいです。同時に、ホームページのメインターゲットを明確にしましょう。「30〜40代の経営者」「子育て世代の主婦」など、できるだけ具体的に想定ユーザー像を描くことで、デザインやコンテンツの方向性が決まりやすくなります。ターゲットごとに、どのような情報を求めているか、どのような行動パターンを取るかを考慮し、サイト設計に反映させましょう。 ③サイト構成・コンテンツの設計(サイトマップ作成) 全体の構成を決める段階です。必要なページや情報の階層構造を整理し、サイトマップを作成します。この段階で、以下のポイントを考慮しましょう。・ユーザーが知りたい情報にスムーズにたどり着けるか・必要な情報が過不足なく含まれているか・競合他社と比較して差別化ポイントが明確か・コンバージョン(問い合わせなど)につながるパスが明確か また、既存サイトの人気コンテンツや、SEO的に価値があるページは引き継ぐ計画を立てることも重要です。URL設計についても、この段階で検討しておきましょう。 ④デザイン制作(UI/UXを意識) サイトのビジュアル面を決める重要なステップです。ここでは以下のポイントを意識しましょう。・ブランドイメージに合ったカラースキーム・モバイルファーストを意識した設計・視線の流れを考慮したレイアウト・重要な情報やCTAボタンの配置・適切な余白と読みやすさの確保 デザイン段階では、まずワイヤーフレーム(骨組み)を作成し、全体のレイアウトやコンテンツの配置を決めます。その後、詳細なデザインカンプに進むという流れが一般的です。重要なのは、「見た目の良さ」だけでなく「使いやすさ」を重視することです。デザイン性と機能性のバランスを取ることが、成功するサイトの鍵となります。 ⑤コーディング・開発(レスポンシブ対応など) デザインが承認されたら、実際のWebサイトとして構築していきます。HTML/CSS/JavaScriptなどを使って、デザインカンプを忠実に再現していきます。この段階では、以下のポイントが重要です。・各種ブラウザでの表示確認・異なるデバイスでのレスポンシブ対応・表示速度の最適化・セキュリティ対策・CMS(WordPress等)の導入と設定 特に表示速度は、ユーザー体験とSEO両方に影響する重要な要素です。画像の最適化、コードの軽量化、キャッシュの活用など、様々な技術的対策を取り入れましょう。 ⑥テスト・公開 サイトが完成したら、公開前に十分なテストを行います。具体的には以下のようなテスト項目があります。・リンク切れがないか・入力フォームが正常に機能するか・画像や動画が適切に表示されるか・異なるデバイスやブラウザで問題なく表示されるか・表示速度は許容範囲内か テスト後、修正点があれば対応し、問題がなければサイトを公開します。この際、旧サイトからのリダイレクト設定が適切に行われているか確認することが極めて重要です。特にSEO評価の高いページのURLが変わる場合は、301リダイレクトの設定を忘れないようにしましょう。 ⑦運用・改善(アクセス解析・ABテストなど) サイト公開後も継続的な改善が重要です。Googleアナリティクスなどのツールでアクセス解析を行い、以下のような点を確認します。・訪問者数やページビュー数の推移・流入経路(検索/SNS/参照元など)・よく閲覧されるページと離脱率の高いページ・コンバージョン率の推移 データを基に、ページの改善やコンテンツの追加を行っていきましょう。特に重要なページでは、ABテスト(2つのバージョンを用意して効果を比較する方法)を実施するのも効果的です。 リニューアルは「完成」で終わりではなく、その後の継続的な改善こそが成果につながります。定期的な更新計画を立て、常に最新の状態を維持することが理想的です。以上の7ステップを意識して進めることで、効果的なホームページリニューアルが可能になります。次章では、気になる費用相場について解説します。 ホームページリニューアルにかかる費用相場と内訳 ホームページリニューアルを検討する際、「いったいいくらかかるのか」という点は大きな関心事でしょう。ここでは、規模別の費用相場と料金に影響する要素、そしてコスト削減のポイントについて解説します。 費用の目安(規模別:小規模〜中規模〜大規模) ホームページリニューアルの費用は、サイトの規模や機能によって大きく異なります。一般的な相場は以下の通りです。 小規模サイト(5〜10ページ程度)・料金目安:30万円〜80万円・特徴:会社概要、サービス紹介、お問い合わせなど基本的なページのみ・CMS:WordPressなどのテンプレートを使用した比較的シンプルな構成 中規模サイト(10〜30ページ程度)・料金目安:80万円〜200万円・特徴:オリジナルデザイン、ブログ機能、お知らせ機能などを含む・CMS:WordPressなどをカスタマイズして使用することが多い 大規模サイト(30ページ以上)・料金目安:200万円〜500万円以上・特徴:複雑な機能、会員制サイト、ECサイト連携、多言語対応など・CMS:大規模なカスタマイズや専用システムの開発を含むことも これらはあくまで目安であり、制作会社や地域によって差があります。複数の会社から見積もりを取ることをおすすめします。 料金に影響する主な要素(ページ数、CMS導入、オリジナルデザインなど) リニューアル費用を左右する主な要素には、以下のようなものがあります。 ページ数・コンテンツ量サイトのページ数が多いほど、デザイン・コーディング・コンテンツ作成の工数が増えるため、費用も比例して高くなります。 デザインの独自性テンプレートを使用する場合と、一からオリジナルデザインを作成する場合では、大きく費用が異なります。ブランディングを重視する場合は、独自デザインの価値は高いと言えるでしょう。 CMS導入・カスタマイズWordPressなどのCMSを導入し、自社で更新できるようにするための費用が発生します。特殊な機能や管理画面のカスタマイズが必要な場合は、さらに費用がかさみます。 機能・システム連携問い合わせフォーム、予約システム、会員機能、ECサイト連携など、特殊な機能を実装する場合は、それに応じた開発費用が発生します。 レスポンシブ対応現在ではスマホ対応は標準となっていますが、特殊なレイアウトや複雑な表組みなどがある場合、レスポンシブ対応の工数が増える可能性があります。 SEO対策キーワード調査、競合分析、コンテンツSEOなど、本格的なSEO対策を含める場合は追加費用が発生します。 コンテンツ制作文章の執筆、写真撮影、イラスト作成、動画制作などを依頼する場合は、それぞれ専門スタッフの費用が加算されます。 「リニューアル」ならではのコスト削減ポイントとは? 新規サイト制作と比較して、リニューアルならではのコスト削減ポイントもあります。 既存コンテンツの活用文章や画像など、既存のコンテンツを一部流用することで、制作費を抑えることができます。特に会社概要や製品情報など、基本的な情報は大きく変わらないことが多いでしょう。 段階的なリニューアル全てを一度に刷新するのではなく、優先度の高いページから段階的に進めることで、初期費用を分散させることが可能です。まずはトップページとよく閲覧されるページだけを先行してリニューアルし、残りのページは予算に余裕ができてから検討するのもいいかもしれません。 必要な機能の見極め「あれば良いな」程度の機能は後回しにし、本当に必要な機能に絞ることで、コストを抑えられます。アクセス解析データを参考に、ユーザーが実際によく使う機能を優先しましょう。 テンプレートの活用完全オリジナルデザインにこだわらず、高品質なテンプレートをベースにカスタマイズする方法もあります。特に予算が限られている場合は、この方法が現実的でしょう。 自社でできる部分は内製化文章の執筆や簡単な画像加工、情報の整理など、自社でできる作業は内製化することで、外注コストを削減できます。 費用対効果を最大化するためには、「何にお金をかけるべきか」という優先順位を明確にすることが重要です。特に重視したいのは、サイトの「骨格」となる部分です。情報設計やUI/UXといった基本構造は、後から簡単に変更できるものではありません。一方、細かいデザイン要素やコンテンツは、段階的に充実させていくことも可能です。 ホームページリニューアルで失敗しないための注意点 せっかく時間とコストをかけてリニューアルしても、思うような効果が出ないケースも少なくありません。ここでは、リニューアルで陥りがちな失敗を避けるための注意点を解説します。 旧サイトの資産(SEO評価・コンテンツ)を失わないために リニューアルによって、これまで築いてきたSEO評価やコンテンツの資産を失ってしまうことは大きな損失です。以下のような対策が重要になります。 検索エンジンで上位表示されているページの把握Googleサーチコンソールなどのツールで、どのページがどのキーワードで検索されているかを確認しておきましょう。特に流入の多いページは、URLやコンテンツの扱いに注意が必要です。 重要コンテンツの継承アクセス数の多いコンテンツや、ビジネス上重要なコンテンツは、新サイトにも継承するようにしましょう。場合によっては内容を更新しつつ、基本的な情報や価値は維持することが重要です。 メタデータの適切な設定タイトルタグやメタディスクリプションなど、SEOに重要なメタデータが適切に設定されているか確認しましょう。これらの情報が不適切だと、検索順位が下がる可能性があります。画像の最適化画像ファイル名やalt属性(代替テキスト)は、SEOにおいて重要な要素です。適切な名前と説明文を設定し、ファイルサイズも最適化しましょう。 リダイレクト・URL設計の重要性 URLの変更は、SEOに大きな影響を与える可能性があります。以下のポイントに注意しましょう。 301リダイレクトの設定旧サイトのURLを変更する場合は、必ず301リダイレクト(恒久的な転送)を設定しましょう。これにより、検索エンジンに「このページは移動しました」と伝えることができ、SEO評価の継承が可能になります。 URL設計の最適化新しいURLは、検索エンジンとユーザーの両方にとって分かりやすい構造にしましょう。 ・短く、シンプルであること・日本語や特殊文字を避ける・キーワードを含める(過剰にならない程度に)・カテゴリ構造を反映させる404エラーの確認と対応リニューアル後は、404エラー(ページが見つからない)が発生していないか確認しましょう。Googleサーチコンソールでエラーを確認し、見つかった場合は適切なページへリダイレクトするか、サイトマップから削除します。 納期・スケジュールのズレに注意 ホームページリニューアルは、予想以上に時間がかかることが多いものです。特に以下のような状況に注意が必要です。実際の制作期間は、小規模なサイトでも2〜3ヶ月、中規模以上のサイトでは3〜6ヶ月程度を見込んでおくと安心でしょう。コンテンツ準備の遅れ文章や画像などのコンテンツ準備が遅れると、全体のスケジュールに大きく影響します。特に社内で原稿を作成する場合、業務との兼ね合いで遅延が生じやすいため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。 レビュー・修正の繰り返しデザインやコンテンツのレビューが何度も繰り返されると、納期が延びる原因になります。あらかじめ社内での承認プロセスを明確にし、レビュー回数に制限を設けるなどの工夫が必要です。 技術的な課題の発生開発段階で予期せぬ技術的な問題が見つかることもあります。特に古いシステムとの連携や、複雑な機能の実装では、想定外の障害が発生することがあります。プロジェクト計画時に「バッファ期間」を設けておくことが望ましいでしょう。 公開のタイミングイベントや商品発売など、特定の日程に合わせてリニューアルを行う場合は、さらに余裕を持ったスケジュールが必要です。理想的には、予定日の1〜2週間前には開発を完了し、十分なテスト期間を確保しましょう。 関係者間の認識齟齬を防ぐための準備 リニューアルプロジェクトでは、社内の担当者、経営層、制作会社など複数の関係者が関わります。認識の食い違いを防ぐために、以下のポイントに注意しましょう。要件定義書の作成と共有リニューアルの目的、ターゲット、必要な機能、デザインの方向性などを文書化し、関係者全員で共有しましょう。曖昧な指示は後々のトラブルの原因になります。 デザインの事前承認プロセス「イメージと違った」という事態を避けるため、ワイヤーフレーム段階で方向性を確認し、デザインカンプについても複数回のレビューを行うことが重要です。特に決裁権を持つ経営層の承認を早めに得ておくことで、手戻りを防げます。 進捗状況の定期的な共有プロジェクトの進捗状況を定期的に共有し、遅れが生じた場合は早めに対策を講じましょう。月1回程度のミーティングを設定するのが理想的です。 責任と権限の明確化「誰が」「何を」「いつまでに」行うのか、また最終的な決定権は誰が持つのかを明確にしておきましょう。特に社内の承認フローが複雑な場合は、あらかじめプロセスを決めておくことが重要です。 制作会社に依頼する場合のチェックポイント ホームページリニューアルを外部の制作会社に依頼する場合、適切なパートナー選びが成功の鍵を握ります。以下のポイントをチェックしながら、信頼できる会社を選びましょう。 制作実績・業種特化の有無を確認する 制作会社の公開されているポートフォリオや実績を確認し、以下のポイントをチェックしましょう。類似業種の制作実績自社と同じ業界や類似のビジネスモデルのサイト制作経験があると、業界特有のニーズや慣習を理解していることが期待できます。例えば、BtoB企業のサイトとBtoC企業のサイトでは、設計思想が大きく異なります。 デザインの質とバリエーション実績サイトのデザインを見て、センスやクオリティを確認しましょう。また、様々なテイストのデザインができるかどうかも重要です。同じようなデザインばかりの会社は、柔軟性に欠ける可能性があります。 技術的な強みWordPress構築が得意な会社、オリジナルシステム開発が強い会社など、技術的な強みは会社によって異なります。自社の要件に合った技術力を持つ会社を選びましょう。 受賞歴やメディア掲載Webデザインのアワード受賞や業界メディアでの紹介があれば、一定の評価を得ている証と言えるでしょう。 コミュニケーションの取りやすさ プロジェクトを円滑に進めるためには、コミュニケーションの質が非常に重要です。以下のポイントを確認しましょう。レスポンスの速さ問い合わせへの返答が迅速かどうかは、実際のプロジェクト進行時の姿勢を反映していることが多いです。初回の問い合わせから見積もり提出までのスピードもチェックポイントになります。 窓口の一本化複数の担当者とやり取りが必要な場合、情報共有の漏れが生じやすくなります。担当ディレクターやプロジェクトマネージャーが一本化されているかを確認しましょう。 ヒアリングの丁寧さ要件定義の段階で、どれだけ深く質問してくれるかも重要なポイントです。自社の業務やニーズを理解しようとする姿勢が見られるか確認しましょう。 専門用語の使い方過度に専門用語を多用し、分かりにくい説明をする会社には注意が必要です。専門知識のない担当者にも分かりやすく説明できるかどうかは、プロジェクト進行中のコミュニケーションにも影響します。 SEO・マーケティングへの理解があるか ホームページはビジネスツールである以上、見た目の良さだけでなく「成果を出せるサイト」であることが重要です。制作会社のマーケティング理解度を確認しましょう。SEO対策の具体的な提案「SEO対策します」という抽象的な表現ではなく、具体的にどのような対策を行うのか説明できるかどうかが重要です。キーワード選定、内部リンク設計、構造化データの実装など、具体的な手法について聞いてみましょう。 アクセス解析の知識Googleアナリティクスなどの解析ツールの設置だけでなく、データの見方や活用方法についても理解があると、リニューアル後の改善提案も期待できます。 コンバージョン設計の視点訪問者を「問い合わせ」や「購入」などのゴールへ誘導するための設計思想を持っているかどうかも重要です。CTAボタンの配置やフォームの最適化など、コンバージョン率を高めるための工夫について質問してみましょう。 競合分析の提案自社サイトだけでなく、競合他社のサイト分析も含めた提案があると、差別化ポイントが明確になります。 見積もり内容が明確か 適正な価格で透明性のある取引を行うためには、見積もりの内容を詳細に確認することが重要です。詳細な内訳「デザイン一式」「コーディング一式」といった大まかな項目ではなく、各工程や機能ごとの詳細な内訳があるかどうかを確認しましょう。例えば、「トップページデザイン」「下層ページデザイン(5種類)」といった具体的な項目分けがあると、何にいくらかかっているのかが把握しやすくなります。 保守・運用費用の明示リニューアル後の保守費用(サーバー代、ドメイン更新料、セキュリティ対策、バックアップなど)が明記されているかも重要です。月額や年額でどのようなサポートが含まれるのかを確認しましょう。 追加費用の発生条件「〇回以上の修正は追加費用」「公開後の修正は別途」など、追加費用が発生する条件が明確に示されているかを確認しましょう。 支払い条件着手金、中間金、完了金など、支払いのタイミングと割合も重要なポイントです。資金計画を立てやすくするため、前もって確認しておきましょう。 ホームページリニューアルは「目的」と「手順」が鍵 ホームページリニューアルは、Webデザイン、UI/UX、SEO、マーケティングなど様々な専門知識が必要なプロジェクトです。自社だけで進めるのに不安を感じたら、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。多くのWeb制作会社では、無料相談や簡易診断サービスを提供しています。現状の課題分析から始めて、どのようなリニューアルが自社に最適かアドバイスを受けられるでしょう。 また、リニューアルを検討する前の「サイト診断」だけを依頼するのも一つの方法です。第三者の客観的な視点で現状を評価してもらうことで、本当に大規模なリニューアルが必要なのか、部分的な改修で十分なのかを判断する材料になります。 大切なことは、「とりあえずデザインを新しくする」という表面的なリニューアルではなく、ビジネス目標達成のための戦略的なWebサイト刷新を目指すこと。専門家のアドバイスを参考にしながら、自社のニーズに最適なリニューアル計画を立てていきましょう。 ホームページリニューアルは、単なる「サイトの見た目の変更」ではなく、ビジネス戦略の一環として捉えることが大切です。明確な目的を設定し、計画的に進めることで、集客力の向上やブランド価値の強化など、様々なビジネス効果を生み出すことができるでしょう。 <参考>※1…サイトの読み込みに3秒以上かかると、ユーザーは40%離れていく | DIAMOND online
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