SNSブランディング入門。定義・戦略・2025年最新トレンドを紹介


SNSに毎日投稿しているのにフォロワーが増えず、制作実績をどこでアピールしても潜在顧客に届かない――そんな焦りを抱えていませんか?アルゴリズムの変化が激しく、TikTokやInstagramでバズる秘訣も千差万別。ですがご安心ください。
本記事ではWeb制作会社が限られたリソースでブランド認知を高め、案件獲得と採用強化を同時に実現するSNSブランディングの最新戦略を、ゼロから実践できるよう具体的手順と事例を交えて解説します。
この記事を読めば、自社の強みをファンに届ける道筋が明確になります。さらに炎上リスクやステマ規制への備え方までカバーするので、ぜひ安心して一歩踏み出せます。
SNSブランディングとは?
SNSブランディングとはソーシャルメディア(SNS)を活用して企業やブランドの価値や認知度を高めるマーケティング手法です。SNS上で一貫したブランドイメージを発信し、ユーザーとの直接コミュニケーションを図ることで、ファンを育成し競合との差別化を図ります。
なぜSNSブランディングが重要なのか?
2025年現在、SNS利用者は世界で50億人を超え年々増加していて、SNSは企業にとって効果的・効率的にターゲットへリーチできる主要チャネルです。スマートフォン普及に伴い、SNSは「消費者の声」が瞬時に広がる場となり、口コミ効果でブランド認知を急速に拡大できる点でも重要です。
なぜ2025年でも重要なのか?現在のSNSアルゴリズムはエンゲージメント(ユーザー反応)の高いコンテンツを優先表示する傾向があり、ブランドはユーザーとの関係構築に注力する必要があります。
SNSブランディングの動向(2025年版)
Z世代やミレニアル世代の台頭もSNS戦略を左右しています。Z世代は幼少期からデジタル環境に親しんだ真のデジタルネイティブであり、SNSを単なる交流だけでなく情報収集や商品発見のハブとして活用しています。
Z世代の特徴
TikTokやInstagramで商品を探し、短い動画など直感的で価値あるコンテンツを好みます。「SNSで見つけて買う」という行動が当たり前になっていて、SNSとショッピングの境界はほぼ消えています。一方、ミレニアル世代もSNSに積極的で、仲間とのつながりを大切にし、FacebookやInstagramを情報源・交流の場として利用する傾向があります。
主要SNSの利用状況
日本国内ではLINEが約9,700万人と最多、次いでYouTube約7,120万人、X(旧Twitter)約6,700万人、Instagram約6,600万人、TikTok約2,700万人、Facebook約2,600万人となっています。(※1)特にInstagramやTikTokは若年層中心に急成長中です。
また2025年現在、InstagramやTikTokではユーザーが未フォローでも興味を持ちそうなコンテンツがフィードに表示される頻度がさらに増えています。つまり優れたコンテンツはフォロワー以外にも届く可能性が高まっており、アルゴリズムの変化を踏まえた戦略が重要です。
SNSの最新トレンド
ショート動画ブームの定着やアルゴリズムのパーソナライズ強化など、SNSは目まぐるしく進化しています。Instagramはリール(Reels)など短尺動画機能を強化し、2025年はフォロー外アカウントの投稿が通常フィードにも増えるなど発見タブ以外での露出機会も広がっています。
TikTokは高度なレコメンド能力でユーザーの興味を素早く学習し、良質な動画コンテンツを次々と個人に最適化して提示します。特にTikTokでは投稿動画の視聴完了率(Watch Time)が最重要指標となっていて、視聴維持できる面白い動画ほど「For You」ページに載りバズりやすい構造です。
またSNS検索も新潮流です。Z世代は情報検索にGoogleよりSNS(TikTokやInstagram)を使う比率が高まり、TikTokでは人気キーワードを動画内で発話したり字幕に入れることで検索流入を狙う手法も登場しています。こうした動向から、SNSブランディングは今やマーケティング戦略の中核であり、最新トレンドを踏まえた柔軟なアプローチが求められています。
戦略設計・目標設定・KPI設計・競合分析のフレームワーク
続いて、SNSブランディングを成功へ導く土台として、戦略設計から目標設定・KPI策定、競合分析までを一連の流れで整理していきましょう。
戦略の全体設計
SNSブランディング成功のためには、闇雲に投稿するのではなく明確な戦略フレームワークに沿ってプランを立てることが重要です。まずは現状分析を行い、自社のSNSの現状と課題、競合の動向、ターゲットユーザーの特性を洗い出します。
競合他社のSNSを調査し、投稿内容やエンゲージメント状況を評価する競合分析も欠かせません。競合のSNS戦略・コンテンツ・成果を定期的に評価することで、自社の立ち位置や差別化のヒントが得られます。
例えば、競合が力を入れていないプラットフォームやコンテンツ形式が見つかれば、それは自社が先行できるチャンスです。また競合分析にはソーシャルリスニング(SNS上の会話分析)も有効です。
他社や業界に関するユーザーの声を傾聴すれば、消費者ニーズの変化やコンテンツのトレンドを把握でき、自社戦略の差別化ポイント(ギャップやチャンス)を発見できます。
目標とKPIの設定
戦略立案時には、具体的なゴール(Objectives)と成果指標を明確に定めます。ここで重要なのがSMARTな目標設定です。SMARTとは Specific(具体的)・Measurable(測定可能)・Attainable(達成可能)・Relevant(関連性がある)・Timely(期限が明確) の頭字語で、SNSの目標もこれに沿って定義します。
例えば「Instagramのフォロワーを今月中に500人増やす」「半年で投稿の平均クリック率を20%向上させる」といった具合に、具体的な数値目標と期限を設定します 。
また、目標に紐づけてKPI(重要業績評価指標)を設計しましょう。KPIとは目標達成度を測るための指標で、SNSブランディングでは代表的なものにエンゲージメント率(投稿に対するいいね・コメント・シェアの割合)、フォロワー数の増減、SNS経由のサイトアクセス数などがあります。
これらKPIを追跡することで、施策の有効性や改善点を客観的に分析できます。例えば「投稿Aはエンゲージメント率が高かったがフォロワー増には繋がらなかった」といった具合にデータから学び、次の施策に活かすのです。
KPIはビジネス目標と直結している必要があります。単に数字を追うのではなく、「このKPIの達成がビジネスにどう貢献するか」を意識することで、測定に振り回されず戦略の大局を見失わないようにします。
例えば「エンゲージメント率向上」は「ブランドへの好意度や認知向上」に直結し、「クリック数増加」は「サイト誘導によるリード獲得」に繋がる、といった関連付けを明確にしておきます。
KPIのモニタリングと改善
設定したKPIは定期的にトラッキングし、PDCAサイクルで運用改善を図りましょう。週次・月次など決められた頻度でデータをチェックし、計画(Plan)に対する実行(Do)の結果を評価(Check)します。
例えば「この2ヶ月でフォロワー増加ペースが鈍化した」「Xのリツイート数が目標未達」といった兆候を早めに把握し、原因を分析して戦略を修正(Action)します。
うまくいった施策は更に強化し、成果の出なかった施策は改善策を講じるか撤退を判断します。データに基づくアプローチ(データドリブン)は、勘や経験だけに頼らず客観的にSNS施策の効果を評価できるため、ブランディング成功に不可欠です。
またKPIや目標自体も固定的ではなく、半年・1年スパンで定期的に見直すことが重要です。企業の方針転換やアルゴリズム変化、新しいSNSの登場など環境変化に応じて、設定すべき指標や基準値も進化させる柔軟性を持ちましょう。
戦略設計に使えるその他のフレームワーク
SNSブランディング戦略は基本的にマーケティング戦略と同様の枠組みで検討できます。代表的なものにSOSTAC(ソスタック)モデルがあります。SOSTACは Situation(現状分析) → Objectives(目標設定) → Strategy(戦略立案) → Tactics(戦術・施策) → Action(実行) → Control(管理・評価) の6ステップで計画を立てるフレームワークです。このような体系を参考にすれば漏れなく戦略を組み立てやすいでしょう。
また、自社・競合・顧客を多角的に分析する3C分析や、自社の強み・弱みを洗い出すSWOT分析を行い、ブランドコンセプトや差別化ポイントを整理するのも有効です。さらにペルソナ設定(典型的な顧客像の具体化)により、ターゲットのニーズや興味関心を把握すれば、コンテンツの方向性も定まりやすくなります。
これらのフレームワークを土台にしつつ、SNS特有のリアルタイム性やユーザー参加性を考慮して、実行可能なプランへ落とし込んでいきましょう。
プラットフォーム別ブランディング手法と最新Tips
SNSごとにユーザー層や適したコンテンツ形式が異なるため、プラットフォームの特性に合わせたブランディング手法を取る必要があります。ここでは主要SNS(Instagram、TikTok、X〈旧Twitter〉、YouTube、LinkedIn)について、最新トレンドを踏まえた効果的な活用ポイントを紹介します。
Instagram(インスタグラム)
プラットフォーム特性
ビジュアル重視のSNSで、特にファッション・美容・飲食・ライフスタイル分野との親和性が高いです。世界観のある写真や動画でユーザーの感性に訴求しやすく、ブランドの世界観を直感的に伝えるのに適しています。
Instagramは現在エンゲージメント率が非常に高いプラットフォーム。投稿に対するユーザー反応が他SNSより活発との調査もあり、ブランド投稿の平均エンゲージメント率は1.6%とも言われています(※2)
アルゴリズム面では、直近の投稿やユーザーと頻繁に交流するアカウントを優先表示し、さらにユーザーがフォローしていないアカウントの人気投稿もフィードに混在させるようになっています。
つまり自社アカウントの投稿がフォロワー以外にも届くチャンスがある反面、ユーザーの興味を引けない投稿は表示されにくい厳しい競争環境です。
ブランディング活用法
まず高品質な画像・動画コンテンツは必須です。商品写真一つとってもプロレベルの美しさやブランドらしい統一感を追求しましょう。
Instagramでは画像の統一感・フィードの美観も重要で、ブランドカラーやトーンを揃えることで一目で「このブランドだ」と認識してもらいやすくなります。
加えて、ストーリーやライブ配信、短尺動画リールの活用もポイントです。リールはTikTokライクな軽快動画機能で、導入以降急成長しており「リール投稿でフォロワーが増加した」ケースも報告されています(※2)。アルゴリズム上もリール等新機能は優遇される傾向があるため、積極的に取り入れユーザーの関心を引く短動画を投入してみましょう。
またストーリーズは24時間で消える気軽な投稿で、フィードの世界観を崩さずリアルタイム情報を発信するのに適しています。例えばセール告知やイベント裏側の様子、日常的な社内風景など、ストーリーズで親近感を演出するのも有効です。
エンゲージメント向上のTips
Instagramではユーザーとの対話がアルゴリズム上も重要です。投稿後、最初の1時間〜数時間でどれだけ反応が付くかが拡散の鍵となるため、投稿直後は積極的にユーザーと交流しましょう。
具体的には「投稿後すぐ1時間以内に寄せられたコメントに全て返信する」「投稿直後にフォロワーの投稿にいいね・コメントして回り双方向の交流を活発化させる」といったテクニックが推奨されています。(※2)
またキャプション(投稿説明文)も軽視できません。質問を投げかけるキャプションにするとユーザーからコメントが付きやすくなります。「みなさんはどう思いますか?」「あなたのお気に入りはどれ?」といった問いかけで会話を促しましょう。
ハッシュタグも依然重要な発見経路です。関連性の高いタグを適切に付けることで新規ユーザーの目に留まる機会が増えます。適切なハッシュタグ戦略に正解はありませんが、人気タグとニッチタグを組み合わせたり、投稿内容に即したタグを研究して試行錯誤することが大切です。
最後に投稿頻度と一貫性にも注意しましょう。アルゴリズムはランダムな投稿より定期的・継続的な発信を評価する傾向があるため、無理のない範囲で週〇回と決めてコンスタントに投稿することが望ましいです。例えば「毎週月・木・土に投稿」などスケジュールを組み、計画的にコンテンツを作り溜め(バッチ作成)して予約投稿ツール等もうまく活用すると良いでしょう。
TikTok(ティックトック)
プラットフォーム特性
短い動画で次々とコンテンツを消費する高速サイクルの動画SNSです。エンタメ要素が強く、一見バズとは無縁の企業アカウントでも、刺さる動画次第で一夜にして数百万再生・フォロワー急増といった爆発力があるのがTikTokの魅力です。
特に若年層(10代〜20代前半)の利用率が高く、Z世代へのリーチには外せません。またTikTokのアルゴリズムはユーザーの好みを精緻に学習し、個々人に最適化された「For Youページ」に無限の動画を提供することで知られます。
2025年現在、TikTokは単なるダンス動画の場ではなく、多様なジャンルで「価値ある動画」が評価されるプラットフォームに成熟しています。教育・解説系から商品レビュー、コメディ、ルーティン紹介まで、ユーザーに有益か楽しめる内容であれば何でも受け入れられる土壌があります。
ブランディング活用法
価値提供と没入感がポイントです。他のSNS以上に動画の出来・面白さが命運を握るため、「この動画から何を得られるか」を明確にしましょう。
ブランドとしては製品の使い方を短いチュートリアル動画にしたり、業界の豆知識をテンポよく紹介したり、あるいはブランドストーリーをクリエイティブな動画で表現するなど、見る人の役に立つか、楽しませるコンテンツ作りが重要です。
TikTokでは視聴完了率が最重要指標で、最初の数秒で視聴者の心を掴み動画を最後まで見てもらう工夫が欠かせません。
例えば冒頭に強いインパクトや問題提起を置く、字幕やテロップで目を引く、音楽や効果音で雰囲気を盛り上げるなどの編集テクニックを駆使しましょう。うまくはまれば視聴維持率が伸び、アルゴリズムが「良質」と判断してより多くのユーザーに拡散してくれます。
トレンドの活用
TikTokは次々と流行が生まれるプラットフォームです。流行りの楽曲・音源やハッシュタグチャレンジを自社なりに取り入れると、視聴者の興味を引きやすくなります。
「プラットフォーム上のトレンドは数日~数週間で寿命を迎える」と言われるほど流れが速いので、マーケ担当者は日々TikTok内の「話題の音源」「人気ハッシュタグ」をチェックし、素早くコンテンツ制作に反映する姿勢が求められます。
例えば「#○○チャレンジ」が流行していれば、自社商品やサービスに絡めて参加動画を投稿することで関連性のあるユーザーに露出できます。またTikTokではニッチな関心にもリーチ可能です。アルゴリズムがユーザー個々の嗜好に合わせて動画を届けてくれるため、フォロワーが少なくても専門性の高い面白い動画を出せば、その分野に興味があるユーザーへ自然と届きます。
むしろ、万人受けよりコアなテーマに特化した方が刺さる相手に深く届きやすい傾向があります。例えば、Webデザイン会社が「〇〇デザインの豆知識」を短いシリーズ動画にして出したら、デザインに興味あるユーザーに広まりフォロー獲得…といったケースも十分考えられます。
エンゲージメントと検索最適化
TikTok上でブランド認知を高めるには、動画のシェアや保存も促進したいところです。実はTikTokアルゴリズムでは、「視聴時間」に次いで「共有」「お気に入り保存」「コメント」「いいね」の順に重視されるとされています。
思わず誰かに送りたくなるような動画や、後で見返したくなるTip集動画などは共有・保存につながりやすく拡散が加速します。またTikTokを検索ツールとして使う若者も増えているため、動画内のテキストや話す言葉にキーワードを盛り込むことも効果的です。
たとえば料理レシピ動画なら「#簡単レシピ」「#パスタの作り方」といったキーワードをキャプションや音声で言及し、関連検索でヒットしやすくする工夫です。TikTok自身も動画の字幕や音声から内容を解析しているので、対策しておくとよいでしょう。
X(旧Twitter)
プラットフォーム特性
リアルタイム性と拡散力に優れたテキスト中心のSNSです。短文(日本語では全角140文字)の投稿で時事ネタや今起きていることを即座に共有できるため、トレンドへの俊敏な対応が求められます。
ユーザー層は幅広く、特にニュース・政治からサブカルチャーまで様々なコミュニティが存在します。Twitter改め「X」への改称(2023年)以降も基本的な機能は同じで、リツイート(共有)やいいねによって爆発的に情報が広がる仕組みです。
企業にとってXはカスタマー対応や情報発信の即応性が重要視され、ユーモアやウィットを交えた投稿が共感を呼びやすい文化があります。
ブランディング活用法
タイムリーな投稿でブランドの存在感を高めるのがX攻略の肝です。例えば流行中のハッシュタグに絡めた投稿や、話題になっているネタに自社の見解やユーモアを交えたツイートを行うとユーザーの目に留まりやすくなります。
Xでは公式アカウントの「中の人」的な親しみや面白さが好まれる傾向があり、フォーマルすぎないカジュアルなトーンで人間味ある発信をすると投稿が伸びやすい傾向にあります。
ユーモアのあるツイートや「あるあるネタ」はエンゲージメントを稼ぎやすく、拡散されてブランド認知拡大に寄与します。
一方で、ユーザーからのリプライ(返信)に即座に対応・返答することも信頼構築には欠かせません。X上でのユーザー問い合わせやクレームに素早く丁寧に返信することで、「対応の良い会社」というポジティブなブランドイメージを醸成できます。
実際に大手通信会社のNTTドコモはTwitter上でユーザーとの接点を増やす運用を行い、1年でフォロワーを20万人増加させた成功例があります。このように双方向コミュニケーションを重ねてファンとの距離を縮めることがXブランディングのポイントです。
トレンド参加とキャンペーン
Xでは日々トレンド(急上昇ワード)が変化しますが、ブランドに関連するトピックがあれば積極的に参加しましょう。例えば突発的な業界ニュースに自社の専門的なコメントを即ツイートしたり、イベント時に公式ハッシュタグを付けて投稿するなど、「会話に参加するブランド」になることが大切です。
また、ハッシュタグキャンペーンも拡散力を活かせる施策です。ユーザーに指定のハッシュタグ付きで投稿してもらい抽選で景品を提供する、といったUGCキャンペーンは、多くの企業がフォロワー増加や認知拡大のために活用しています。
キャンペーン開催時は魅力的なハッシュタグ(覚えやすくポジティブなもの)を設定し、期間中繰り返し告知ツイートを行って認知を広げましょう。参加型企画としては「#○○なう」「#今年一番良かった〇〇」などユーザーが投稿しやすいお題を出す試みも効果的です。
さらに、X独自機能の投票(アンケート)ツイートやスペース(音声ライブ)を活用してユーザーとのインタラクションを深めることもできます。例えば新商品のデザイン案を投票で選んでもらう、スペースで開発秘話を語るなど、ユーザーを巻き込む演出がブランド愛着を高めます。
YouTube(ユーチューブ)
プラットフォーム特性
世界最大の動画共有プラットフォームであり、長尺動画によるじっくりとした情報発信に適しています。検索エンジンとしてもGoogleに次ぐ規模を持ち、How-to動画やレビュー、エンタメコンテンツなどあらゆる動画が集積する場です。
視覚と聴覚を使ったストーリーテリングが可能なため、ブランドの世界観や商品の魅力を深く伝えたい場合に有効です。ユーザー層は非常に幅広く、子供から大人まで年齢問わず利用されています。近年はYouTube Shorts(ショート動画)も導入され、短い縦動画でTikTokやInstagramリール的なリーチ拡大も図れるようになりました。
ブランディング活用法
長編コンテンツで信頼構築を図るのがYouTubeの王道です。
例えば、
商品レビュー・デモ動画
自社商品の使い方や機能紹介を実演し、メリットを分かりやすく伝える。文章では伝わりづらいニュアンスや使用感を映像で示すことで信頼性が高まります。
How-to・ハウツー動画
業界知識や製品の活用方法を教える教育コンテンツを提供し、視聴者に役立つブランドとして認識してもらう。例えばWeb制作会社なら「ホームページのSEO改善テクニック○選」等のノウハウ動画を出すことで専門家イメージを確立できます。
ブランドストーリー・ドキュメンタリー
会社の創業秘話や開発の舞台裏、社員の情熱などを動画にまとめ、ブランドの価値観や人間味を伝える。ドキュメンタリータッチの映像はユーザーの共感を呼び、企業ファンを増やします。
顧客事例・インタビュー
実際のクライアントやユーザーのインタビュー動画を公開し、第三者視点でブランドの価値を語ってもらう。B2B企業などでは、導入事例動画は信頼性を大きく向上させるコンテンツです。
YouTubeではこれらをシリーズ化して継続発信することで、チャンネル登録者を増やしファンコミュニティを形成できます。例えば毎週決まった曜日に新動画を公開することでユーザーの視聴習慣を作る、といった取り組みが有効です。
また、YouTubeはSEO(検索最適化)の観点も重要です。動画タイトルや説明欄、タグに狙ったキーワードを含めることで、Google検索やYouTube内検索で上位表示されやすくなります。
企業名や製品名はもちろん、ユーザーが検索しそうな具体ワード(「〇〇 使い方」「〇〇 比較」など)を含めましょう。さらに説明欄には自社サイトやSNSへのリンクを貼り、動画視聴から次のアクションへ誘導できるようにしておくと効果的です。
エンゲージメントの醸成
長尺動画でも視聴者との交流は重要です。コメント欄に寄せられた質問にはできるだけ返答したり、動画内で視聴者から募集した質問に答えるQ&A企画を行うなど、双方向コミュニケーションの工夫をしましょう。
ライブ配信(YouTube Live)でリアルタイムにチャット交流するのもファンとの絆を深めます。また、CTA(Call To Action)の活用も忘れずに。動画の最後に「気に入ったら👍ボタンとチャンネル登録お願いします」と促したり、説明欄で関連動画や資料へのリンクを案内するなどして、視聴者に次の行動を促しましょう。これによりエンゲージメントを高めつつ、コンバージョン(問い合わせや購入)にも繋げやすくなります。
LinkedIn(リンクトイン)
プラットフォーム特性
ビジネス特化のSNSで、職種や業界に特化した専門的情報交換・ネットワーキングに使われます。他のSNSに比べ国内ユーザーはまだ少なめですが、世界では10億人以上が登録(日本でも会員400万人超)しており、特にB2Bマーケティングや採用ブランディングで力を発揮します。
実際、89%のB2BマーケターがLinkedInを活用しているとのデータもあり(※2)、企業間取引や専門人材への訴求には有効な場です。年齢層は20代後半~50代までの働く世代が中心で、Facebookよりも職務経歴やキャリアに関連する話題が好まれます。
ブランディング活用法
Web制作会社などクリエイティブ・IT業界の企業にとって、LinkedInは業界内での存在感向上とリード獲得に有効です。まず会社公式ページを充実させ、自社サービスや実績、ミッションなどを英語対応も含めて掲載しましょう。
定期投稿コンテンツとしては、例えば「プロジェクト成功事例の紹介」「自社ブログ記事の英語版シェア」「業界トレンドに対する自社の見解」「登壇セミナーや受賞ニュース」など、専門性や実績アピールにつながる情報を発信します。
LinkedInではいいねやコメントよりも共有(シェア)による拡散が多い傾向があります。価値ある洞察やデータを含む投稿は業界関係者にシェアされやすく、結果として見込み顧客に届く可能性も高まります。
また、社員の個人アカウントもブランディングに活かせます。経営者やリーダー層が積極的に記事を投稿したり業界の話題をコメントしたりすることで、「この会社は発信力がある」「思想リーダーがいる」という印象を与えられます。
例えばデザイン会社のデザイナーがUXデザインに関するノウハウ記事をLinkedInに投稿すれば、多くの反響を得て会社名の露出増と信頼アップにつながるでしょう。社員の投稿を会社ページでシェアするなどして組織ぐるみで情報発信を盛り上げるのも有効です。
LinkedIn特有の機能
「いいね」のバリエーション(役に立った/おもしろい/応援している等)があり、投稿がどのように受け止められたか把握できます。またグループ機能で業界コミュニティに参加し、見込み客との接点を増やす手もあります。
例えば「Webデザイン」「スタートアップ経営者」などのグループに加入し、有益なコメントを残すことで間接的な宣伝効果が期待できます。LinkedInブログ(Pulse)で記事を書けばフォロワー外にも拡散されやすく、専門家としての認知度を高めることもできます。
UGC・インフルエンサー・AI・ソーシャルリスニング活用の新トレンド
SNSブランディングをさらに強化するため、新しいトレンド手法も積極的に取り入れてみましょう。特にUGC(ユーザー生成コンテンツ)活用、インフルエンサーマーケティング、最新テクノロジーであるAIの活用やソーシャルリスニングは近年注目されています。それぞれの概要と活用ポイント、事例を紹介します。
UGC(ユーザー発信コンテンツ)の活用
UGCとはユーザーが自発的に作ったコンテンツ(投稿、レビュー、写真など)です。ブランドに関するUGCを促進し公式に共有することで、親近感や信頼感を大きく高めることができます。
例えば、自社製品を使った写真をユーザーから募集し優秀作品をSNS公式で紹介するキャンペーンは定番のUGC施策です。コスメブランドが「#私のお気に入りコスメ」のようなハッシュタグで一般ユーザーのメイク写真を紹介したり、飲料メーカーがユーザー投稿動画をまとめたCMを作成した例など、多くの成功事例があります。
UGCがもたらす利点は、生の声による口コミ効果とコンテンツ量産です。消費者目線のリアルな投稿は宣伝臭が薄く、他の消費者にも響きやすい傾向があります。またユーザーにコンテンツ制作を手伝ってもらえるため、自社だけでは生み出せない多様な視点の素材が集まります。
ただしUGC活用時の注意として、ユーザーが作った写真や動画を企業が公式利用する際は著作権や肖像権の許諾を得る必要があります。
無断で転載すると権利侵害になりかねませんので、キャンペーン規約で投稿時に利用許諾をもらう仕組みにするか、後日連絡して許可を取りましょう。適切なクレジット表示(投稿者名の記載など)も心がけることでユーザーとの信頼関係を保ちつつUGCをブランド資産として活用できます。
インフルエンサーの活用
SNSで多数のフォロワーを持つインフルエンサー(影響力のある個人)とのタイアップは、従来からある手法ですが2025年現在も進化を遂げています。大規模フォロワーを持つメガインフルエンサーだけでなく、1万~数万人規模のマイクロインフルエンサーや特定分野で強いナノインフルエンサーも注目されています。
フォロワー数が少なくてもエンゲージメント率が高くコアなファンを持つ人の発信は、信頼性が高く実購買に結び付きやすいとされています。Web制作会社などB2Bの場合、業界有識者やテック系YouTuberなどとのコラボも一種のインフルエンサーマーケティングです。
具体的な活用例としては、インフルエンサーに製品を提供してレビューしてもらう、共同でSNSライブ配信を行う、限定クーポンを発行してもらう等があります。
自社公式では届きにくかった層にリーチでき、「第三者のお墨付き」という形でブランドメッセージを伝えられるのが強みです。例えばデザインツール企業が有名クリエイターに動画内でツールを使ってもらい、そのクリエイターのファンに製品訴求する、といった手法があります。
インフルエンサー活用のトレンド
最近では、バーチャルインフルエンサー(CGやAIで作られた架空人物)も登場しており、例えば日本のバーチャルモデル「imma」(イマ)や海外の「Lil Miquela(リル・ミケーラ)」は多くのフォロワーを持ちブランドキャンペーンに起用されています。
バーチャルならではのコントロールしやすさから、炎上リスクを抑えつつ最先端のイメージを演出できる手法として一部で活用が進んでいます。また、インフルエンサーの長期アンバサダー化もトレンドです。
単発のPR投稿ではなく、半年~年単位で継続的にブランドを発信してもらうことで「その人=ブランドの顔」として信頼を醸成し、よりファン層へ浸透させる狙いです。いずれの場合も注意すべきはステルスマーケティング(ステマ)規制です。
日本では2023年10月から景品表示法によりステマが違法化され、企業が第三者を装って宣伝する場合は有償・無償を問わず「広告」である旨の表示が必須となりました。(※3)
そのためインフルエンサー投稿には「#PR」など明確な宣伝タグを付けてもらい、公正な形で進める必要があります。透明性を担保した上で、インフルエンサーならではの表現力でブランド魅力を語ってもらうことが大切です。
AI(人工知能)の活用
近年のAI技術の飛躍はSNSブランディングにも新しい可能性をもたらしています。生成AI(ジェネレーティブAI)を使ったコンテンツ制作支援はその一つです。文章生成AIのChatGPTや画像生成AIのMidjourneyなどを活用すれば、SNS投稿アイデア出しやキャッチコピー案作成、ビジュアルのモックアップ作成などを効率化できます。
例えば「X向けにカジュアルでユーモラスな新商品告知文を書いて」とAIに指示すれば、たたき台となる文案が得られ担当者のクリエイティブ作業の手助けになります。また、AIチャットボットをSNS上で導入し顧客対応するケースも増えています。
Facebook MessengerやLINE公式アカウント上で動くチャットボットが代表例で、簡易な問い合わせに自動応答したり、ユーザーに合った商品をレコメンドするなど、24時間対応で顧客体験を向上させています。
さらに、AI動画/音声合成により、人手では難しい大量の動画生成やパーソナライズ動画配信も可能になりつつあります。例えば不動産会社が多数の物件紹介動画をAI合成ナレーション付きで自動生成し、YouTubeやTikTokに量産投稿する、といった手法も現実味を帯びています。
AI×SNSの先進事例
大手では、ファッションブランドがAIを使ってユーザーそれぞれに異なるデザインの限定品画像を生成しSNSキャンペーンを行ったり、飲料メーカーがAIアートコンペを開催し優秀作品を商品パッケージに採用するなど、ユーザー参加型×AIの試みも出てきています。
Web制作会社などクリエイティブ企業においては、AIはライバルでなく共創ツールとして捉えると良いでしょう。例えば最新のデザイン動向をAIで分析してレポートを作成し、それをSNSで公開することで専門性アピールと話題性獲得に繋げる、といった応用も考えられます。
ただしAI活用時の注意点として、生成物の著作権や情報の正確性があります。AIが作った文章や画像には著作権が発生しないケースが多く二次利用は問題ありませんが、学習データ由来で類似作品を生むリスクもゼロではないため公開前に人のチェックが必要です。
またAIの出力内容には事実誤認が含まれることもあるため、ブランド公式情報として発信する際は必ず正誤を確認しましょう。
ソーシャルリスニング
SNS上のユーザーの声を収集・分析することを指します。これもAI技術を活用したツールが多く登場し、マーケティング戦略に組み込まれています。
具体的には、自社や競合に関する投稿、業界のトレンドワード、顧客の要望や不満などをテキストマイニングし、ポジティブ・ネガティブの感情分析や話題の共起語抽出を行います。
ソーシャルリスニングを行うことで、ブランドイメージが今どう捉えられているか、キャンペーンへの反応、次の商品開発のヒントになるニーズ等をリアルタイムで把握できます。
「顧客の生の声」を経営に活かす好例として、大手食品メーカーがSNS上の要望を元に人気商品を復刻発売したり、ゲーム会社がβ版リリース後のTwitter上の意見を分析しアップデートに反映するといったケースがあります。
ネガティブな声も早期に発見できるため、炎上の火種を小さいうちに消火するリスク管理にも有効です。例えばモニタリングで批判投稿が出始めたらすぐ対処したり説明を追加したりして、大事に至らないよう対策できます。
新トレンド活用のポイント
これらUGC・インフルエンサー・AI・ソーシャルリスニングはいずれも「ユーザー参加」と「データ活用」の発想です。SNSブランディングを企業だけの発信にとどめず、ユーザーを巻き込み、テクノロジーの力で得られる知見を取り入れることで、ブランドと顧客の関係性をよりダイナミックに育むことができます。
特にAIと人間のハイブリッドによるクリエイティブや、ユーザーとの双方向コミュニケーションの深化は、これからのブランディングにおける競争優位を生むでしょう。もっとも、新手法に飛びつきすぎて核となるブランドメッセージがぶれないよう、「何のためにそれを使うのか」を意識して取り入れることが大切です。
炎上リスク管理と法的注意点(ステマ規制・個人情報保護など)
SNS活用には光の面ばかりでなく、注意すべき影の面も存在します。特に企業アカウントでは炎上リスク(不特定多数から強い批判を受ける状況)への備えや、近年強化されたステルスマーケティング規制、そして個人情報・著作権などの法令順守が求められます。それぞれポイントを押さえておきましょう。
炎上リスク管理
SNSは拡散力が大きい反面、一度ネガティブな話題が広がると制御が難しく、企業イメージを大きく損なう危険があります。近年の分析によると、企業に関する炎上は日本では約7割がX(旧Twitter)上の投稿が発端となっているとの報告もあります。(※4)。
まず平常時からSNSガイドラインを策定し、投稿内容のチェック体制や万一炎上した際の社内対応フローを定めておくことが重要です。
ガイドラインには「差別・批判を含む表現禁止」「政治宗教に関する発言慎重に」など基本的ルールや、担当者以外が公式SNSに不用意に触れないようアクセス権限管理を明記します。(※5)
また各投稿について多角的な視点での事前確認も有効です。社内で若手・中堅・管理職と複数人で投稿文やクリエイティブをレビューすれば、不適切表現の見落としを減らせます。特にユーモアを狙った投稿は受け取り方に注意が必要で、誰かを揶揄したり不謹慎と取られる恐れがないか検討しましょう。
それでも予期せぬ炎上が起きてしまった場合は、初動対応が肝心です。基本はすぐに経緯を把握し、誠実かつ迅速な謝罪・説明を行うことです。「投稿の削除+お詫び」を早急に実施し、必要に応じて公式サイトで詳細説明や再発防止策を発表します。
不適切投稿をした担当者個人を過度に責めず組織として対応しつつ、再発防止策(教育や体制見直し)を示すことで沈静化を図ります。また、火消しのために言い訳したりユーザーと論争するのは逆効果です。批判意見にも真摯に耳を傾け改善に繋げる姿勢を示すことが、長期的にはブランドへの信頼回復につながります。
なお、デマや悪質な炎上で事実無根の風評被害を受けている場合は、毅然と反論や法的措置も検討すべきです。ただしその判断は慎重に行い、客観的事実の提示に留め、感情的対立を避けるよう注意します。
平時にはSNS上で日頃からポジティブなファン層を育てておくこともリスク管理の一環です。ブランドを理解し擁護してくれるファンが多ければ、小さな批判が起きてもファンがフォローしてくれ大事に至らないケースもあります。常日頃から真摯なコミュニケーションと信頼醸成を心がけ、「いざというとき味方になってくれるファン」を増やしておきましょう。
ステルスマーケティング規制への対応
前述の通り2023年10月から、宣伝であることを隠したマーケティング行為(いわゆるステマ)が法律で禁止となりました(※3)。
具体的には、企業が宣伝の事実を消費者に隠匿する行為(自社スタッフが一般人を装って商品の良い口コミを投稿する、金品提供したインフルエンサーに広告と明示させずPRさせるなど)は景品表示法の不当表示として処罰対象になりました(※3)。
たとえ金銭報酬が無く無料提供や割引程度でも、消費者がそれを知らずに記事内容を信じると合理的選択を阻害するためNGです。もし過去にPR表記なしで依頼した記事等が残っている場合は早急に対応(削除・訂正)すべきとされています。(※3)
企業のSNSブランディングでも、この点を強く意識しましょう。インフルエンサー起用時は必ず「#PR」「#広告」タグを付けてもらう、社員や家族によるクチコミ投稿は行わないなど、透明性確保が大前提です。
自社SNSでユーザーに口コミ投稿を促す場合も、投稿者に何らかの利益(割引クーポン等)を提供するなら、その旨を周知し投稿者にも開示をお願いするのが望ましいでしょう。
例えば「レビューを書いたら○○プレゼント」とキャンペーンをする際、その場で消費者に伝えていれば問題ありませんが、後から企業がDMでひそかに謝礼を渡して書かせたとなると規制に抵触しかねません。
要は「ユーザーがそれを広告と認識できる状態」であることが必要です。このルールを守らないと法的リスクもさることながら、発覚時に企業イメージの大きな低下を招きます。消費者の信頼を裏切らない運用を心掛けましょう。
個人情報・プライバシー保護
SNSブランディングでは個人情報やプライバシーにも細心の注意を払いましょう。まず、自社がSNSを通じて収集した個人データ(キャンペーン応募の氏名・住所、DM相談内容など)の管理は、個人情報保護法などに従って適切に行う必要があります。
日本では2022年に個人情報保護法が改正され、企業の責務強化や漏洩時の報告義務化などが盛り込まれました。(※6)。具体的には、万一情報漏えいが起きた場合の報告・本人通知が義務となり、企業の罰則も強化されています。(※7)
SNS担当者は社内のプライバシーポリシーに従い、応募フォーム等で取得する個人情報の利用目的を明示・同意取得し、得たデータは目的以外に使わないことが基本です。また、SNS投稿コンテンツ中に他人の個人情報が写り込まないよう注意しましょう。
例えばオフィス紹介の写真にお客様の氏名が書かれた書類が映り込んでいた、イベントレポート動画に一般参加者の顔が無断で多数映っていたなどは問題になります。他人が写っている写真を許可なく公開すると肖像権の侵害となり得ます。(※8)人物が写る場合は事前に了承を取るか、ぼかし処理をするなど配慮してください。
著作権・商標権の遵守
SNSで使用するテキスト・画像・動画・音楽など全てのコンテンツについて、権利関係をクリアにすることは必須です。他者の著作物(写真・イラスト・文章・映像・楽曲など)を利用する際は、その利用許諾を得ているかを確認しましょう。
インターネット上から拾った画像を許可なく投稿に使うのはもちろんNGです。フリー素材サイトのものでも利用規約を守り、クレジット表記が必要な場合は記載します。引用の範囲を超えるコピー&ペースト投稿もしないようにします。また、ユーザーが作成したUGCを共有する際も先述の通り権利許諾が必要です。
自社が投稿するコンテンツについては、自前でオリジナルを作成するのが基本ですが、その際自社が著作権を持つ素材であっても他社に二次利用された場合の対処などを考えておくと良いでしょう。著作権表示を画像内に入れる、水準以上の解像度データは公開しないなど、自衛策もあります。
万一、自社コンテンツが無断使用された場合はまず穏便に相手に連絡し削除を求める等で解決を図り(著作権法に詳しい弁護士への相談も検討)、それでも悪質なら法的措置という流れになります。
その他法的留意点
他にも、SNS投稿で自社や他社の製品・サービスに関する表現をする際は景品表示法や薬機法など各種広告規制に抵触しないようチェックしましょう。「世界一○○な商品!」のような優良誤認表示にならないよう事実ベースで記述します。
キャンペーンで懸賞を行う場合は景品類の最高額や総額に注意し、公正取引委員会の定める範囲内に収めます。また自社SNSで競合他社を引き合いに出す場合は、不当な比較広告や名誉毀損にならないよう十分注意してください。
以上のように、法やリスクへの配慮は地味ですがブランドの信用を守る大前提です。SNSは公開の場であることを常に意識し、社会的責任をもって運用しましょう。問題なく運営することで初めて、前述したブランディング施策の成果が活きてきます。
ユーザーと共に、ブランドを築こう
SNSブランディングは2025年現在、アルゴリズムの高度化やユーザー行動の変化によりますます重要性を増しています。基本となる戦略設計(ターゲット設定、目標・KPI、競合分析)をしっかり行い、各プラットフォームの最新トレンドに合わせたコンテンツ発信とユーザー交流を深めることが成功のポイントです。
加えてUGC・インフルエンサー・AIなど新手法も貪欲に取り入れ、炎上や法規制には細心の注意を払いましょう。Web制作会社をはじめクリエイティブ業界でも、SNSはその発信力を示しブランド価値を高める理想的な舞台です。
「ユーザーと共に創るブランドストーリー」を意識しながら、一貫したメッセージと創意工夫ある運用で他社とはひと味違う存在感を築いてください。それこそがSNS時代のブランディング成功への近道と言えるでしょう。
<参考記事>
※1…2025年|日本・世界のSNSの利用者数ランキングまとめ!SNS別のマーケティング成功事例も解説 | ホットリンク
※2…Social Media Algorithm 2025 Guide For Every Platform | Story Chief Insights
※3…「ステマ規制」何をしたら違反? PR表記のルールや禁止のポイント | 知っておきたい法律関係 | Web担当者Forum
※4…2024年SNS炎上分析レポート 資料ダウンロード) | コムニコ
※5…社員のSNSを禁止して炎上被害を防止する方法(ガイドライン・書式あり)| 労働問題.com
※6…〖個人情報保護法〗2022年施行の改正内容と企業が知っておくべきポイントをわかりやすく紹介 | PR TIMES MAGAZINE
※7…2022年4月に個人情報保護法が改正!改正のポイントと企業に求められること | ALSOK
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